Jリーグは1月31日、JFAハウスで総会、臨時理事会を開き、5代目のチェアマンにリクルート執行役員などを務めた村井満氏(54)が就任した。2期務めた大東和美前チェアマン(65)の後任で任期は16年3月まで。村井氏はJリーグ理事を08年7月から約5年半務めたが、クラブ経営の経験がない異色のチェアマンが誕生した。

 村井チェアマンは「Jリーグとサポーターの距離を縮めるチェアマン」だ。もともとがGKでもあり、埼玉スタジアムのゴール裏に陣取る熱烈な浦和サポーターだった。試合会場に足を運ぶファンの気持ちは分かっている。「でも今はJリーグに加盟する51チームのサポーター」。試合の視察では浦和を優先するつもりはなく「まずは福島など被災地へ足を運びたい」と話した。

 大東前チェアマンの4年間は公益法人への移行、東日本大震災への対応、J1昇格プレーオフや大会方式の変更など激動だった。その一方で、「新たなファンの獲得に危機感がある」と率直に語ったように、スタジアムに足を運ぶサポーターの平均年齢が高くなっているという課題や、スポンサー収入が伸び悩む現状もある。「チェアマンという立場上、クラブを飛び越えて自分がサポーターと話すことは出来ない。ただ、サポーターがクラブと話しやすい環境を作ることはできる」とやさしい口調の中にも信念をにじませた。クラブがファンの声を吸い上げやすい環境作りを進める。

 「まずはやるべきことを、しっかりと形にしていきたい」と話し「Jリーグを、世界から見習うべきだと思ってもらえるようなリーグにしたい」とイメージを語った。Jリーグが直面する課題は決して少なくない。「自分に既成概念がないのは強みになる」と言う村井チェアマンのもと、Jリーグは14年シーズンを迎える。【高橋悟史】

 ◆村井満(むらい・みつる)1959年(昭34)8月2日生まれ。埼玉県川越市出身。83年3月早大法学部卒業後、同年4月日本リクルートセンター(現リクルートホールディングス)入社。00年4月に同社執行役、04年3月リクルートエイブリック代表取締役社長に就任。08年7月日本プロサッカーリーグ理事。家族は夫人、1男1女。