横浜FCのFW三浦知良(カズ=44)が、F(日本フットサル)リーグに参戦することが15日、正式に決まった。同リーグのエスポラーダ北海道に加入し、1月15日の府中アスレティック戦(きたえーる)に出場する。今日16日、日本サッカー協会から発表される。15歳でブラジルに渡り、フットサルと出合って技術を磨いたキングが、再び原点に戻り日本のサッカーファミリーを増やすため、尽力する。

 開拓者カズが、新たな挑戦を決意した。ラブコールを受けていたフットサル界の期待に応え、Fリーグの参戦を決めた。16日に東京・文京区のJFAハウスで、フットサルへの熱い気持ち、参戦を決めた背景などを自分の言葉で語る。

 来月早々には、恒例のグアムキャンプで体作りに入る。帰国してすぐに札幌入りし、北海道の練習に合流予定。1月15日に札幌・北海きたえーるで行われるホーム府中戦がデビュー戦になる。カズは常々「やるからには、Fリーグに失礼のないようにきちんと準備したい。お客さんでやるつもりはない」と話していた。J2リーグ戦終了後にプライベートでブラジルを訪れた際も練習を重ねてきた。

 カズが北海道を選んだのは、所属する横浜FCの経営母体LEOC社(給食受託企業)が、北海道の経営もしているため。日ごろ、同社から栄養管理の協力を得ており、それが同クラブを選んだ理由の1つだ。

 日本協会の副会長でフットサルトップを務める大仁邦弥フットサル連盟会長(67)は「前々から要請はしているし、機は熟した」と、09年からラブコールを送り続けてきたカズのFリーグ参戦に期待を寄せた。

 カズもフットサルの発展を望んできた。15歳でブラジルに渡り、ストリートサッカーの発展型であるフットサルで技術を高めてきた。小さいスペースでボールタッチが自然と増え、カズのトレードマーク「またぎフェイント」をものにする大きなきっかけになった。

 来日中のネイマール(サントス)やメッシ(バルセロナ)も、子供のころは小さいコートで技術を磨いた。ロナウジーニョ(フラメンゴ)が、グレミオのサッカースクールに通いながら、フットサルで育ったのは有名だ。こうした成功例からも、フットサル発展が、広く日本サッカーの反映に直結する図式が見える。

 広い敷地がなくてもサッカーボールに触れられる。これは、競技人口を増やす大きな強みになる。大震災の被災地の一部地域は、いまだ「外で遊ぶのは1日3時間まで」と制限されている。広いグラウンドが整っていない被災地でも、狭いコートで子供たちが存分にボールを追いかけることができる。

 また、Fリーグ創立時から、5年連続でスポンサーを務める森永製菓も、カズ加入を熱望してきた。カズの決断はFリーグ全体の活性化へ、大きな推進力になる。

 個人技術は広いグラウンドより、狭いコートで磨かれる。ブラジルで学んだカズの決断は、日本サッカーの転機につながる。