【ドーハ(カタール)17日=磯綾乃】脳振とうからの復帰の過程にあるMF遠藤航(29=シュツットガルト)が17日、また1歩前進した。

カナダ戦が行われるドバイには同行せず、16日から続けてドーハに残留して別メニュー調整。16日には合流後、初めてボールを使ったメニューをこなし、この日は頭部に負担のかかるヘディングも敢行。ドリブルにシュート練習も行うなど、ボールを使ってのメニューの段階も引き上げた。また、ジョギングだけでなく力強いダッシュも見せた。

脳振とうには、厳密な復帰への段階を定めた「プロトコル」があり、日本協会もそれにのっとって、復帰を目指す。合流初日の15日は、ステージ3のランニングなど軽めの調整で終え、ボールを蹴ることはステージ4にあたる。最終段階のステージ6が「通常の競技参加」とされる。この2日間で3から4へ。大事な頭部への影響も考え、楽観視はできないが、1歩ずつ復帰に向かっているようだ。

次のステージ5は接触プレーを含む通常練習。その段階に進むのは、早くてもカナダ戦を終えたチームがドーハで練習を再開する19日以降となりそうだ。

また、左ふくらはぎの違和感で別メニュー調整中で、ともに残留したMF守田英正(27=スポルティング)は室内でバイクをこぎ、外に出てウオーキングを行った。

◆脳振とうからの復帰プロトコル 日本協会の公式サイトによると、復帰までは大きく6つのステップがある。

(1)十分な休息をとり、症状がないことを確認する

(2)最大心拍数の70%以下での強度で、歩行や屋内サイクリングといった軽い有酸素運動

(3)ランニングなどのトレーニング。頭部への衝撃のある活動は控える

(4)パス練習など複雑な練習

(5)通常練習

(6)競技に復帰

各段階において、再び症状が出た場合には24時間の休息をとり、1つ前のステップから再開する。以上がガイドラインだが、実際は専門医への受診をし、個別の事例や状況に即して行う。