日本は史上初のベスト8進出をかけて、前回準優勝のクロアチアと戦います。91年にユーゴスラビアから独立し、人口400万人あまり。世界遺産のドブロブニクをはじめ、観光に訪れる日本人は増えていますが、まだまだなじみは薄いかも知れません。外交官としてクロアチアで勤務したことがある本紙記者が国民性を紹介します。

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クロアチア人って、どんな人? と聞かれても、簡単には答えられない。これが隣国のセルビア人なら、ちょっといいかげんだけど憎めなくて、情に厚く、おせっかいなぐらい仲間思いと、すらすら答えられるのだけど。もう15年以上前だが、前職で外務省にいたころ、首都ザグレブの日本大使館で働いた。仕事に忙殺されたこともあるが、03年夏から2年あまりいたのに、残念ながらクロアチア人の友人はできなかった。その前に住んだセルビアの首都ベオグラードでは、知り合った日に泊まりに誘われることもあったほど(男友だちです)。あっという間に輪が広がっていったのとは、対照的だった。

同じ南スラブ人。言語は方言程度の差だし、ともに旧ユーゴスラビアの一員。だが、トルコ支配の影響が強く残ったセルビアに対し、クロアチアはオーストリア支配が長かった。その違いが国民性にも表れている気がする。信号のない横断歩道。セルビアでは決して止まらない車が、クロアチアでは歩行者優先で止まってくれた。規律を重んじる点は、日本人に近いかも知れない。

決してとっつきにくいわけではない。セルビア人ほどすぐにうち解けなくても、日本人から見たらずっとオープンだし、旅行者にも親切だ。もちろん、性格なんて人によるし、イタリア的で開放的なアドリア海沿岸とザグレブなどの内陸部ではまた異なる。あくまで、個人の見解です。

確かに言えるのは、メシは何でもうまいこと。クロアチアワインと一緒に、指をベトベトにしながら食べる手長エビのボイルは最高だった。なお、今回のW杯ではモデルのイワナ・ノールさんが露出の高いセクシーなドレスで話題になったが、敬虔(けいけん)なカトリック教徒が多い。みんな結構真面目でした。【古川真弥】

<クロアチアとは>

◆場所 東ヨーロッパ、バルカン半島。アドリア海に面する

◆国旗 赤白青。中央に国章とクロアチア民族を象徴する赤白のチェック

◆首都 ザグレブ

◆国土 面積は5万6594平方キロメートルで、九州の1.5倍程度

◆人口 406.8万人(19年統計)

◆歴史 91年にユーゴスラビアから独立宣言し、92年に国連に加盟。建国記念日は5月30日

◆公用語 クロアチア語

◆街 ドブロブニク旧市街、トロギールなど、世界遺産に指定される町並み多数

◆名産 トリュフ

◆国内リーグ ディナモ・ザグレブはモドリッチらを輩出した強豪

◆著名人 冒険家マルコ・ポーロ、格闘家ミルコ・クロコップ