【ドーハ(カタール)9日=磯綾乃】王国がまたも早すぎる終焉(しゅうえん)を迎えた。FIFAランキング1位のブラジルが前回準優勝のクロアチア(同12位)に準々決勝で敗れ、2大会連続で4強入りを逃した。FWネイマール(30=パリ・サンジェルマン)が延長前半ロスタイムに先制ゴールを決めるも、試合終了間際に追いつかれてPK戦の末に敗戦。代表通算最多77得点で王様ペレに並ぶも、病床に伏すレジェンドに優勝を届けることはできなかった。

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ネイマールは大会前から取り沙汰されてきた、自身の代表引退について「扉を閉ざすわけではないし、100%戻ってくるとも言い切れない」と否定も肯定もしなかった。今は目の前の状況を受け入れることに精いっぱいの様子だった。

「正直、分からない。今は考えることがたくさんあって、頭が熱くて、今何かを話すのは良くないと思う。なぜなら、とても感情的になっているから。きちんと考えられないかもしれない」。試合後のミックスゾーンに表れたエースは、泣き腫らした目をしていた。それでも報道陣に声をかけられるたび、5回以上立ち止まり、静かに丁寧に質問に答えていた。

華麗なプレーと言動で、いつも世界の中心で居続けたネイマール。「これが最後というのは早計かもしれないが、何の保証もできない。これを機に自分が何を求めているのか考えたい」。サッカー人生の決断が注目される。