【ドーハ(カタール)16日=磯綾乃】全国民がメッシの夢を強力サポート! 36年ぶり3度目の優勝を目指し、18日にフランスとの決勝を迎えるアルゼンチンに、うれしい“助っ人”がやってきた。昨年現役を引退した元代表、セルヒオ・アグエロ氏(34)が15日の練習を訪問。盟友のFWリオネル・メッシ(35=パリ・サンジェルマン)にとって大きな心の支えとなる。また“感動のインタビュー”で世界中で話題になっている女性リポーターも、エースへの国民の総意を熱く代弁した。

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世界中の取材陣100人以上が集結したアルゼンチンのトレーニング場に、懐かしい姿がやってきた。主力組やスカロニ監督と和やかに言葉を交わしていたのは、昨年惜しまれつつも現役引退したアグエロ氏だ。

国際Aマッチ通算101試合41得点を挙げ、マンチェスター・シティーなどでも活躍した英雄は、FIFAのアンバサダーとして今大会に参加している。長らくともに戦ってきたメッシにとっては、唯一無二の盟友。決戦を前にして、これ以上ない心の支えとなる。

その様子を見守る記者の中に、ひときわ目立つ金髪の女性がいた。アルゼンチンのテレビ局「TV Publica」でリポーターを務めるソフィア・マルティネスさん。実は今、メッシ並みに? 世界中から注目を浴びている。

準決勝の後の取材エリア。メッシにインタビューを行っていたマルティネスさんは、最後に言った。「あなたに伝えたいことがあります。もちろん我々アルゼンチン人はみんな優勝してほしいと思っている。でも言いたいのは、結果がどうであれ、あなたには誰にも奪えないものがあるということ。あなたはアルゼンチン人全員と心を通じ合わせている。ありがとうキャプテン」。思わぬ感謝の言葉に、メッシも目を潤ませ「本当にありがとう。僕もずっとそれを感じているよ」と応えた。

伝えたかったのは、国民全員の「愛」。決勝を3日後に控えた練習の後、マルティネスさんは真意を明かした。「我々はメッシを愛しているし、彼はそれに値する。アルゼンチン代表は優勝に値するチームだけど、中でもメッシは優勝にふさわしい。アルゼンチンの人々を代表して言えたのは特別なことよ」。想像を超えるプレーに大人は熱狂し、子供は夢を抱く。マルティネスさんの言葉を借りれば「ユニホームを持っていない子供はいない。それが偽物でも、本物でも、作ったものでも」。メッシという存在が、たくさんの人を幸せにしている。「メッシのゴールで1-0で勝てたらうれしい!」。その言葉は、国民全員の願いだ。

マルティネスさんが自身のインスタグラムに投稿した“感動のインタビュー”動画には、16日時点で33万を超える「いいね」が集まった。愛のエールの輪は、世界中に広がっている。15日にはフェルナンデス大統領がツイッターに「アルゼンチンは素晴らしい国。(勝つのは)中南米だ! 行くぞ!」と投稿した。5度目の挑戦で悲願の頂点へ。あふれるほどの熱い愛を受けたメッシが、最後の戦いに向かう。