先日、有名人と車内でカラオケを熱唱する「カープール・カラオケ」で有名な英俳優・コメディアンのジェームズ・コーデン(39)が面白い映像を制作した。

 FWハリー・ケーン(24)やFWジェイミー・バーディー(31)、DFカイル・ウォーカー(28)、MFデリ・アリ(22)らイングランド代表の面々がコーデンとともに登場。コーデンが彼らを「『米国のみなさん、米国代表がいない今ワールドカップ(W杯)では、ぜひイングランドを応援してください』とアピールするんだ。そうすれば君たちは世界のスターになれるし、大きなスポンサーもつく」とそそのかし、米国でのファン獲得を目指すビデオを作るという内容になっている。

 だがバーディーがこっけいなカウボーイにさせられたり、無理やり自由の女神の格好になったアリが右手のたいまつを掲げることを「やりたくない」と拒否。ウォーカーは「オレはサッカーという言葉は言えない(イングランドではサッカーではなくフットボールなので)」とごねるなど、はちゃめちゃで笑えるものになっている。

 だが実際にイングランドが米国ファンを獲得することは難しいだろう。少なくともカリフォルニア州においては。なぜなら彼らはおそらくメキシコを応援するだろうから。

 そもそもカリフォルニアにはメキシコからの移民も多く、同国代表の人気は高い。その上、バドワイザーなどのビールで有名なアンハイザー・ブッシュ社が「2日のブラジル戦でメキシコが勝ったら、カリフォルニア州のみなさんに『バドライト』を無料でプレゼントします。いつもカリフォルニアでご愛飲していただいているお礼です」と宣言したのだ。

 「勝つ前から詳細を発表して、メキシコ代表に変な重圧を与えたくない」との同社の意向から、いつ、どこで配布するのかはまだ明かされていない。だが抜けるような青空の下、ビールを水のようにがぶがぶ飲む西海岸の米国人にとって最高のプレゼント。「これはメキシコを応援するしかない」と盛り上がっているのは言うまでもない。

 メキシコはW杯では94年の米国大会から6大会連続で16強どまり。だがロンドン・オリンピックでは決勝でブラジルを破って優勝しており、その時の再現が期待される。地元開催だった86年大会以来のベスト8に進出し、カリフォルニアで「ビールパーティー」開催となるか。注目される。【千葉修宏】