昨季プレミアリーグで23ゴールを挙げ、リバプールFWサラーとともに得点王の座を分け合ったトットナムの韓国代表FW孫興民(30)が少し変だ。

今季ここまで4試合に出場して無得点1アシスト。アジアが誇る点取り屋がチーム総得点9点のうち、わずか1点にしか関わることができていないのだ。

ついに英スカイスポーツ電子版は「リシャルリソンが孫に取って代わる時?」という記事を掲載。孫のスタメンの地位が脅かされていると説明した。

現在3位のトットナムは28日に敵地でノッティンガム・フォレストと対戦。途中出場のブラジル代表FWリシャルリソンがチーム2点目をアシストするなど、2-0の勝利に貢献した。

一方、孫はこの試合で76分間プレーしながら、ボールタッチ数はわずかに26。GKを含めた両軍先発選手22人の中で最少だったという。

途中交代となった際の孫のイライラは顕著だった。スカイスポーツによると、ベンチに腰を下ろした際に孫が発した言葉は、読唇術のエキスパートでなくても理解できるものだったという。

そんな姿を見てもコンテ監督は「孫はトップ選手で本当に良いやつだ。私の娘には、彼のような夫を見つけなければならない」と話しており、怒るようなそぶりは見せていない。ただ、このまま不調が続けば、スタメンの変更を考える可能性はある。

トットナムは31日にウェストハムとの一戦を迎える。もちろん長期的に見て孫の復調はチームにとって必要不可欠だ。指揮官も「今季、我々が何かを勝ち取ろうとするなら、孫にこれまでやってきたことを継続してもらわないといけない」と話している。ただ、短期的な視点でリシャルリソンを先発で試す可能性はある。

孫は今季開幕前、トットナムの一員として韓国ツアーに参加した。主役として注目を浴び、普段とは違ったプレシーズンを過ごした。そのような環境の中で、調整が遅れていたり、自分の意図するトレーニングが不足している可能性はある。アジア史上最高の選手の1人として、いち早く本調子を取り戻してもらいたい。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)