ブンデスリーガの新シーズンが開幕し、シャルケに新加入した日本代表主将のDF吉田麻也(33)が7日のケルン戦にキャプテンマークを巻きフル出場した。W杯イヤー初戦でどんなプレーを見せるのか、吉田目当てに現地で取材した。

試合は3度のVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入があり(シャルケの得点取り消し、シャルケへのレッドカード、ケルンへの得点が認められる)、シャルケには不運が重なった。結果的に退場者を出した数的不利が響き、1-3と敗れた。ただ、吉田のプレーは今後へ期待を持たせるものだった。

4-4-2布陣の右CBでプレー。試合開始からプレーが途切れた際にはクラマー監督のもとに駆け寄り、チームの修正点を話し合うような場面が見られた。吉田の実績や経験に対し、チーム全体がリスペクトしていることが感じられた。

試合を通して目立ったのは、相手FWに積極的に体をぶつけ1対1で有利に立つ場面や、機を見て相手の前に入りボールを奪取した場面などクレバーな判断。フィジカルが強調されるドイツでも、問題なく対応できることを証明した。

前半35分に退場者を出したチームは、4-4-1布陣で守備ラインを下げ、自陣深くにブロックを敷いた。守備の意識をより高くしてセットプレー、カウンターから反撃の機会をうかがう我慢の時間が続いた。対するケルンはボールを片方のサイドからもう片方のサイドへ素早く移動させ、シャルケの守備陣のズレを生み出そうとした。32本のシュートを浴びたように、何度も連続でやってくるクロスを跳ね返した。

試合後、吉田はこう話した。「後半は苦しかった。特にうちの右の守備。左はスムーズにプレスに行けていたけど、右は誰が行くのかはっきりしない状態でズルズル下がった。そこはきつかったけど、こういう試合を引き分けに持っていけるくらいになりたい」。

この言葉通り、そこに課題を見た。この日のケルン戦のようにチームとしての守備の基準点がはっきりせず、サイドで数的有利な状況をつくられた時に、吉田が持ち前の統率力でチームに自信を持たせたり、個々の戦い方をチームとして一致させられるかだろう。

シャルケは2部からの昇格組だけに、経験が不足する選手が多い。それは日本代表の状況とも似ている。「苦しい時こそ自分が引っ張っていけるようになりたい。自信を持たせたり、弱気になったところとか、退場が出た後の気持ちの持ちようとか、そこで自分ができるところはたくさんあるし、監督にもそれを求められている。やってることは代表と変わらない」。

欧州4カ国目となるドイツで試行錯誤の日々が始まった。ここで結果を出せれば、それがW杯での日本の躍進にもつながるはずだ。(浜野裕樹=UEFA・A級コーチ)