1月31日に今冬の移籍市場が終了したが、コロナ禍の影響を財政面に大きく受けた前年に比べ、スペインでは補強総額が大幅増加した結果となった。昨冬が2045万ユーロ(約26億5850万円)だったのに対し、今冬は7575万ユーロ(約98億4750万円)と3倍以上にアップ。しかし1億3060万ユーロ(約169億7800万円)だったコロナ禍前の2020年とは大きな開きがある。

リーグ首位のレアル・マドリード、ベティス(3位)、ビルバオ(9位)、オサスナ(11位)の4クラブが一切の補強を行わなかった一方、16クラブが計41人を獲得。この中で最も多くの選手と契約を結んだのは、前半戦長らく最下位で苦しんだヘタフェ(16位)と、現在降格圏内のカディス(18位)で各5人。

続いてグラナダ(14位)、アラベス(19位)が各4人、バルセロナ(5位)、バレンシア(10位)、エルチェ(15位)、久保建英所属のマジョルカ(17位)が各3人。そしてセビリア(2位)、アトレチコ・マドリード(4位)、ビリャレアル(7位)が各2人、レアル・ソシエダード(6位)、ラヨ・バリェカノ(8位)、セルタ(12位)、エスパニョール(13位)、最下位のレバンテ(20位)が各1人を補強した。

しかし、資金を投じたのはわずか6クラブのみ。補強費トップは欧州チャンピオンズリーグを1次リーグで敗退し、後半戦での再起を図るバルセロナ。今冬のスペイン最高額の5500万ユーロ(約71億5000万円)でマンチェスター・シティーからフェラン・トーレスを獲得したほか、ダニエウ・アウベスをフリー、トラオレを期限付き移籍で補強した。さらに、まだ正式発表がないものの、アーセナルと契約解除したオーバメヤンともすでに合意済みと報じられている。

フェラン・トーレス(ロイター)
フェラン・トーレス(ロイター)
FWオバメヤン(2017年12月6日)
FWオバメヤン(2017年12月6日)

2番目に補強費が多かったのはグラナダで770万ユーロ(約10億100万円)、3番目はAマドリードで525万ユーロ(約6億8250万円)。これにセビリアとカディスが300万ユーロ(約3億9000万円)、バレンシアが180万ユーロ(約2億3400万円)で続く。

マジョルカはGKセルヒオ・リコ、DFジョバンニ・ゴンサレス、FWムリキと、ルイス・ガルシア監督が希望した3つのポジション全ての補強に成功したが1ユーロも使っていない。

同様にRソシエダード、ビリャレアル、ラヨ・バリェカノ、セルタ、エスパニョール、エルチェ、ヘタフェ、アラベス、レバンテの9クラブも支出ゼロで選手を獲得している。

また、移籍金が発生したのは41人中9人のみ。トップのフェラン・トーレス(バルセロナ)に、アレソ(グラナダ)が320万ユーロ(約4億1600万円)、テカティート(セビリア)、ルーカス・ペレス(カディス)、ウズニ(グラナダ)が各300万ユーロ(約3億9000万円)で続いている。

一方、退団した選手は計54人、売却総額は2025万ユーロ(約26億3250万円)。これは2125万ユーロ(約27億6250万円)だった昨冬より少し低い。最高額はAマドリードからニューカッスルに移籍したトリッピアーで1400万ユーロ(約18億2000万円)となっている。

欧州5大リーグに目を向けると、補強総額1位はイングランドで3億3260万ユーロ(約432億3800万円)。続いてイタリアが1億7480万ユーロ(約227億2400万円)で2位、スペインが7575万ユーロ(約98億4750万円)で3位、ドイツが6170万ユーロ(約80億2100万円)で4位、フランスが6102万ユーロ(約79億3260万円)で5位。クラブではニューカッスル(イングランド)が補強に最多1億110万ユーロ(約131億4300万円)を投資している。

一方、売却総額1位はイタリアで1億2740万ユーロ(約165億6200万円)。これにイングランドが1億1840万ユーロ(約153億9200万円)で2位、フランスが9215万ユーロ(約119億7950万円)で3位、ドイツが4152万ユーロ(約53億9760万円)で4位、スペインが2025万ユーロ(約26億3250万円)で5位。そしてフィオレンティーナ(イタリア)が8160万ユーロ(約106億800万円)で、欧州5大リーグで最も選手の売却で利益を上げたクラブとなっている。

新型コロナウイルスの影響から徐々に抜け出しつつある中で今冬の移籍市場が終了した。この後、各クラブが心機一転し、シーズン終了までの残り約4カ月に臨むことになる。

【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)