スペインリーグは3日に冬の移籍市場が閉鎖したが、派手な動きがないまま終わりを告げた。
全体の補強費は3110万ユーロ(約49億7600万円)。これは昨冬よりも4530万ユーロ(約72億4800万円)少なく、直近10年間でワーストとなった。動きが鈍化した主な理由として、財政難やサラリーキャップ(選手の契約年数に合わせて分割された移籍金や選手年俸などの限度額)の問題が挙げられる。
最終的に昨冬の44人を大きく下回る31人を獲得した一方、55人が退団する結果となった(※期限付き移籍含む)。そのうち最も多くの選手を補強したのは最下位のバリャドリードで5人。セビリアとセルタが最多5人を放出している。
■Rマドリードは動かず
欧州5大リーグで比較すると、プレミアリーグ全体の補強費はスペインリーグの約14倍の4億4000万ユーロ(約704億円)越えでトップ。そのうち絶不調のマンチェスター・シティーが半分以上を占めている。続いて、セリエAが約2億ユーロ(約320億円)、フランスリーグが約1億9000万ユーロ(約304億円)、ブンデスリーガが約1億7000万ユーロ(約272億円)となっている。
今冬、補強をまったく行わなかったのはレアル・マドリード(スペインリーグ首位)、アトレチコ・マドリード(2位)、バルセロナ(3位)、ラヨ・バリェカノ(6位)、オサスナ(8位)、レアル・ソシエダード(11位)の6クラブ。
そのうちRマドリードは、シーズン序盤にカルバハルとミリトンが立て続けに今季絶望の大けがを負ったため補強が必須と見られていた。しかしセンターバック獲得に動かず、唯一補強候補に挙げていたイングランド代表DFアレクサンダー=アーノルドとの契約はリバプールに断られた(※フリーでの今夏加入で選手本人と合意済みとの報道あり)。また、退団する選手は1人もいなかった。
開幕時に約2億ユーロ(約320億円)もの大型補強を行なったAマドリードは穏やかな冬を過ごした。選手獲得に動かず、シメオネ監督指揮下で戦力外のレマルが放出候補になっていたが、そのまま残っている。
バルサは選手を放出し、サラリーキャップに余裕ができれば攻撃陣を強化するつもりでいた。しかし退団が取り沙汰されたDFアラウホ、DFエリック・ガルシア、MFクリステンセン、FWアンス・ファティが全員残留したため、候補に挙げていたマンチェスター・ユナイテッドのイングランド代表FWラッシュフォード獲得に至らなかった。
久保建英が所属するRソシエダードは得点力不足が懸念されたが、ジョキン・アペリバイ会長の「1月は何も検討しておらず、どのクラブとも選手獲得に向けた話し合いを行っていない」という言葉通り、何の補強もなし。MFデ・サラテ、MFマグナセライア、FWサディクを期限付き移籍させるだけに留まった。
■ベティスら7クラブ動く
その一方で補強に動いたのは、ビルバオ(4位)、ビリャレアル(5位)、ジローナ(7位)、マジョルカ(9位)、ベティス(10位)、セビリア(12位)、セルタ(13位)、ヘタフェ(14位)、ラス・パルマス(15位)、レガネス(16位)、エスパニョール(17位)、アラベス(18位)、バレンシア(19位)、バリャドリード(20位)の14クラブ。
そのうち資金を投じたのは半分の7クラブのみ。トップは欧州リーグ復帰を目指すベティスだった。かつて久保建英とチームメイトだったコロンビア代表FWクチョ・エルナンデスを、今冬のスペインリーグの移籍金最高額となる1300万ユーロ(約20億8000万円)でコロンバス・クルー(アメリカ)から獲得。さらに、今冬一番の目玉となったブラジル代表FWアントニーをマンチェスター・ユナイテッドから期限付き移籍で手に入れた。すぐさまその期待に応え、デビューを飾ったビルバオ戦でマッチMVPに輝いている。
セビリアは低迷している状況を挽回すべく、2番目に多い800万ユーロ(約12億8000万円)を補強に費やした。ナイジェリア人FWアダムスを550万ユーロ(約8億8000万円)でモンペリエ、スイス代表MFバルガスを250万ユーロ(約4億円)でアウクスブルクからそれぞれ獲得した。
この2クラブに続き、セルタが420万ユーロ(約6億7200万円)、ビルバオが300万ユーロ(約4億8000万円)、ビリャレアルとバリャドリードが100万ユーロ(約1億6000万円)、ジローナが90万ユーロ(約1億4400万円)を投じている。
浅野拓磨がプレーするマジョルカは今年に入り、公式戦5連敗で無得点と調子を大きく崩している。しかし攻撃陣の補強を行わず、DFファン・デル・ヘイデン、MFジャブレス、MFルナを期限付き移籍で出し、スペイン人DFダビド・ロペスを2部ブルゴスから期限付き移籍で獲得しただけだった。
■ハメス半年でメキシコへ
その他の大きな動きとして、元スペイン代表DFベルナトがビリャレアルからヘタフェにフリーで加入し、元ブラジル代表MFアルトゥール・メロがユベントスからジローナ、カナダ代表MFブキャナンがインテルからビリャレアルにそれぞれ期限付き移籍している。
スペインリーグ今冬の選手売却による全体の収入は4480万ユーロ(約71億6800万円)で補強費を上回った。トップはセルタで1600万ユーロ(約25億6000万円)。そのうちコモに1400万ユーロ(約22億4000万円)で売却したギリシャ代表FWドゥビカスが最高値の選手となった。
また注目で言えば、ラヨ・バリェカノに今季鳴物入りで加入するも、チームにまったく馴染めなかったコロンビア代表MFハメス・ロドリゲスがわずか半年でレオン(メキシコ)に30万ユーロ(約4800万円)で移籍したことだろう。ドルトムントからレガネスに1年間の期限付き移籍で来ていたコートジボワール代表FWハラーは早期退団し、ユトレヒトに移っている。
昨季同様に今冬も上位陣にあまり大きな動きはなく、巻き返しを図る中堅以下のクラブに派手な動きが見られる結果となった。シーズン終了まで約4カ月、あと16節残る中、今回の補強がどのような効果をもたらすのかに注目が集まる。
【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)


