近年の移籍市場に目をやると、FWネイマール、FWエムバペ(ともにパリサンジェルマン)、MFコウチーニョ、MFデンベレ(ともにバルセロナ)ら、1億ユーロ(約135億円)を超す極めて景気の良い金額で選手の“取引”が行われており、同時に彼らの年俸も増加の一途を辿っている。そんな現状に疑問を持っているのが、昨シーズンまで香川真司のドルトムントに所属し、今季からボルシアMGでプレーするMFマティアス・ギンターだ。

 一般紙「ベルト」のインタビューに応じたギンターは、「土木作業員や看護師のような職業の人たちはあくせく働かなければならず、それでいて給料も低い。そんな状況と照らし合わせれば、『サッカー選手は給料をもらいすぎ』と言うしかない」と話している。

 また同選手にとっては「社会に貢献しているか」が仕事の価値を分ける判断基準のようで、「僕たちのようなサッカー選手という仕事は、必要不可欠なものではない。例えば医者は人々の命と健康を守っている。そのような仕事は社会にとって非常に重要な存在だ。しかしサッカー選手という職業は、それらと同じカテゴリーに属する仕事ではない」とし、さらにこう付け加えた。

 「サッカー界は今、人々がしっかりと考えなければいけないような方向に進んでいる。どんどんお金がつぎ込まれ、それと同時に(プロの)スポーツ界は一般社会からどんどん切り離されていく。僕たちは仕切られた世界に住んでいるようなものだ。ひょっとしたら以前からそうだったのかもしれないが、その傾向はますます強くなっていると思う」。

 主にドイツサッカーの金銭事情をまとめたサイト「fussball-geld.de」によれば、ボルシアMG所属選手で最も稼いでいるのは、このギンターで年俸300万ユーロ(約4億500万円)。しかし同選手は自身の名前を冠した「マティアス・ギンター財団」を3月上旬に設立しており、今後は小児病院への支援や、貧困にあえぐ子どものためにサッカーキャンプを開くなど、給料を社会へ還元する計画を立てているという。