“巨人”の異名を持つ元ドイツ代表守護神オリバー・カーンは、対戦相手だけでなく、審判からも恐れられていたようだ。

2004-05シーズンからブンデスリーガ1部の試合も担当するようになり、以降ドイツでトップレベルのレフェリーに数えられるようになったマヌエル・グレーフェ主審が、一般紙「南ドイツ新聞」とのインタビューでデビュー当時のことを明かした。

それによると、基本的にグレーフェ主審は選手に声をかける際、親しい間柄や対等な立場で用いられる「du(キミ、お前)」で呼びかけるという。だが、唯一の例外は、Bミュンヘンを最後尾から支えたオリバー・カーン。「彼にだけは(目上の立場、初対面の相手などに使用される)『Sie(あなた)』で呼んでいた。当時の私はまだ20代半ば。単純に(カーンのことが)怖かったんだ」と回顧した。

同僚アンディ・ヘルツォークのユニホームを引っ張り、ステファヌ・シャピュイサにカンフーキックの格好を見せるなど、カーンの感情をむき出しにしたプレーは今も語り草となっており、2002年の試合中に首根っこをつかまれたトーマス・ブルダリッチも「死ぬほど怖かった」と後に語っている。

もちろん判定にブレが生じるようでは大問題だが、グレーフェ主審も審判である前に一人の人間。それら“恐怖映像”を目の当たりにした後、呼び方が多少変わってしまうのは、やむをえないのかもしれない。