<欧州選手権展望:ドイツ-イタリア>◇準決勝◇28日◇ポーランド・ワルシャワ

 W杯3度、ユーロ3度の優勝を誇るドイツと、W杯4度、ユーロを1度制したイタリアという伝統国同士の対戦。数年前までは両チームとも堅守が持ち味だったが、現在は攻撃面の向上が顕著だ。ただ、こうした変ぼうは、ドイツが06年W杯で指揮したクリンスマン前監督時代から着手したのに対し、イタリアはプランデリ監督が就任した10年W杯終了後から。その点でドイツの方が完成度が高いといわれる。

 ドイツはここまで4試合で9得点。得点パターンもサイド攻撃、ミドルシュート、セットプレーなどバリエーションが多い。MFシュバインシュタイガーが足首の故障を抱え先発が危ぶまれているが、MFクロースら控え選手も有能だ。準々決勝ギリシャ戦では、大幅に先発を替えて「かく乱」するなど、今回も布陣の予想は一筋縄ではいかなそうだ。

 一方、イタリアには過去30回の対戦で7勝9分け14敗、うち公式戦は4分け3敗と勝っていないというデータがある。若い選手には苦手意識というより、06年W杯準決勝で敗れたリベンジへの意識が強く、その中で冷静さを保てるかどうかだ。

 イタリアはFWバロテリに期待がかかる。1次リーグのアイルランド戦ではゴールを背に、相手を背負いながら鮮やかなボレーシュート。準々決勝でも得点こそならなかったが、1人で11本のシュートを放った。身体能力、ゴールへの嗅覚(きゅうかく)はずばぬけており、1人でドイツゴールを脅かす能力を秘めている。ベテランMFピルロが攻守に試合をコントロールしているのも、心強い。

 ただし、DFマッジョが出場停止。DFキエリーニ、アバテ、MFデロッシ、モッタが負傷。相手より試合間隔が2日短い上、準々決勝ではPK戦まで戦っている。どれだけコンディションを整えて、試合に臨めるかが問題だろう。