7月31日付のスペイン紙アス(電子版)は、アウディ杯3位決定戦フェネルバフチェ戦のレアル・マドリードの戦いぶりを振り返りつつ、プレシーズンマッチで素晴らしい印象を残している日本代表MF久保建英について、ジダンがカスティージャ(Bチーム)でのシーズンスタートを決断した可能性があることを報じている。

Rマドリードはプレシーズン5試合目にして、今シーズン初勝利を手に入れたが、さまざまな問題点が浮き彫りになっている。スコアは5-3。同紙は「欧州のトップレベルとはかけ離れた相手に対し、脆弱(ぜいじゃく)な守備は懸念され、レギュラークラスの多くの選手たちがトップフォームからかけ離れている」ことを指摘した。プレシーズン5試合の結果は1勝1分け3敗11得点16失点となっているが、特に1試合平均の失点数が3・2とその多さを強調している。

一方、フェネルバフチェ戦ではベンゼマのハットトリック、マリアノの積極性、ビニシウスとロドリゴのブラジル人コンビ、出場する度に何らかの結果を出している久保の活躍などポジティブな面もあったという。

久保は日本のメディアの大きな注目を浴びながらカナダ・モントリオール合宿からRマドリードでのキャリアをスタートした。そして米国に舞台を移し、インターナショナル・チャンピオンズ杯3試合の初戦バイエルン・ミュンヘン戦では45分間プレーして3度いいドリブルを見せ、ゴールチャンスも1度作り、いい印象を与えた。続くアーセナル戦は出番なく、アトレチコ・マドリード戦では28分間プレーしている。

アウディ杯準決勝トットナム戦はわずか10分間、フェネルバフチェ戦は17分間の出場だったが、スペイン紙アスは「毎回の与えられたチャンスで何らかの記憶に残るプレーを披露している」と久保を高く評価した。

実際、トットナム戦では3本のシュートを打ち、あと1歩で同点というところまで迫り、フェネルバフチェ戦でも苦手な右足で惜しいシュートを放っていた。

久保がこのような活躍を見せる中、ジネディーヌ・ジダン監督はその将来を明確にしていないが、フェネルバフチェ戦後の記者会見では「下部組織から我々と一緒に来た選手がたくさんいる。一方、久保はマドリードに来たばかりであるし、彼は将来、間違いなくこのメンバーで重要な選手になるだろう。しかし、我々はマドリードに戻り、どうするか様子を見るつもりだし彼と話すつもりだ。彼が我々と一緒に練習して、カスティージャで見るのはいいものになるだろうし、どのように当てはめるかを考えるつもりだ。彼は将来有望な選手であるし、ロドリゴやビニシウスのようにとても若い。彼らと一緒にゆっくりと進む必要がある」とカスティージャでプレーする可能性を示唆した。

Rマドリードは今後、7日にザルツブルク、11日にローマと親善試合を行うが、そこに久保の姿があるかどうかが注目となるだろう。そしてチームは17日、アウェーのセルタ戦でリーガ開幕を迎えることになる。(高橋智行通信員)