日本代表を率いて18年ワールドカップ(W杯)で16強入りした西野朗監督(64)率いるタイが、イラクと1-1で引き分け、決勝トーナメント進出(8強)を決めた。上位3チームに与えられる東京オリンピック(五輪)出場に前進した。

勝ち点4(1勝1敗)のグループ2位で迎えた第3戦、相手は勝ち点2(2分け)で同3位のイラクとの決勝トーナメントをかけた直接対決。引き分けでも進出が決まるタイは立ち上がりの前半6分、VAR判定による相手ファウルで得たPKをMFウォンゴーンが決め、幸先よく先制した。

同22分には「タイの神童」と呼ばれる17歳MFスパナット・ムエアンタが右サイドを抜け出し、GKと1対1となる絶好機を迎えたが、右足シュートはイラクGKに体で阻まれた。追加点を奪えず、冷静に戦況を見守った西野監督も顔をゆがめて悔しがった。

その後、イラクのミドルシュートを受ける場面もあったが、GKコラファットがセーブし、得点を許さなかった。

後半開始3分、タイは右サイドを崩され、中央へのクロスボールを許す。ゴール前で混戦になったところ、イラクMFナシッフに右足で蹴りこまれ、1-1の同点とされた。

後のない両チームは攻守に激しさを増した。互いが肉体をぶつけ合い、自然とファウルが増えた。後半25分、タイはイラクゴール前で得たFK。先制点を挙げたウォンゴーンが右足でゴールを狙ったが、わずかに枠を外れた。西野監督は表情をまったく変えず、戦況を見守った。

結局、両チームとも勝利を決める追加点は奪えず、1-1のドローで終了した。タイは下馬評を覆しての8強入り。J1最多監督(270勝)の記録を持つ「名将」西野監督にとっては、故郷へ錦を飾るべく東京五輪へ、あと2勝と迫った。