“ホスト界の帝王”こと、ROLANDの恩師が、現在タイ代表を率いる西野朗氏らに続き、また1人、アジアの代表監督になった。

カンボジア・サッカー連盟は26日、広瀬龍氏(64)が新たな同国代表監督に就任すると発表した。

カンボジア連盟は24日に、アゼルバイジャン・プレミアリーグ(1部)の強豪ネフチMF本田圭佑(34)との実質的な代表監督の契約更新を発表したばかり。

ただ、本田は指導者ライセンスを持っていない。そもそも、サッカー指導者のライセンス制度に疑問を呈し続けており、いわば、無免許監督。

このため、正式な監督として登録できず、カンボジア代表ではゼネラルマネジャーの肩書で、ライセンスを持つ監督をたててベンチに入り、実質的監督として指揮を執り続けている。

これまでは監督にはアルゼンチン人で日本の佐川印刷SCなどでプレーしたフェリックス・アウグスティン・ゴンザレス・ダルマス氏を起用してきた。

同氏は、母国アルゼンチンの最高位の指導者ライセンスを持っており、本田の個人アシスタントとして、長い時間をともにし、共通のサッカー観を持っていた。

しかし、今回の本田の契約更新にあたり、同監督は「カンボジア代表監督を務めたことは、自分の人生で最も光栄なことの1つだった」などと、コメントを残し退任した。

注目されていた後任に、広瀬氏の就任が発表された。

広瀬氏は日本サッカー協会の最高位の公認S級という指導者ライセンスを保持している。

名門・帝京高のサッカー部で主将として1974年度の全国高校選手権で同校を初優勝へと導き、中央大-フジタ(現湘南ベルマーレ)でプレー。その後、指導者として山梨・帝京三高や、母校の帝京高を率い、監督としてROLANDらを指導した。

さらに、茨城・鹿島学園高の総監督、韓国のソウルデジタル大監督や、タイ1部のサムットプラカーン・シティでヘッドコーチも務めた。

現在、本田がプロデューサーを務める東京の育成年代のクラブチームのテクニカルアドバイザーという立場でもある。

6月に再開されるワールドカップ(W杯)カタール大会のアジア2次予選で、カンボジアは現在C組最下位だが、2次予選で初めての勝ち点を挙げるなど、1歩1歩成長中。

本田の信念で、将来を見すえ、徹底的に細かくパスを回すサッカーをたたき込んでいる。

経験豊富な広瀬氏は、昨年アップされた“世の中には2種類の男しかいない。俺か、俺以外か”の名ゼリフで有名な教え子の公式YouTubeチャンネルにサプライズ登場。「ローランドの一番怖い人」とのタイトルで紹介されている。

確かにこわもてだが、この動画からは、恩師と教え子の厚い信頼が垣間見える。そんなやりとりとともに、確かに圧倒的なオーラを発している。

本田とともに、どのように代表チームを強くしていくのか-。これまで以上に日本サッカーとの結びつきを強くしたカンボジアの今後が、注目されている。【八反誠】