横浜との交渉が暗礁に乗り上げた日本代表MF中村俊輔(30=セルティック)が11日、横浜市内で代理人のロベルト佃氏らと約2時間の話し合いを持ち、週明けにも同氏が緊急渡欧する方針を固めた。現時点では古巣横浜への復帰は断念していないが、オファーを受けて1度は断ったスペイン1部リーグのエスパニョールやAマドリードへの移籍を再び視野に入れたのは間違いない。古巣への復帰が秒読みとみられていたが、一転、スペインリーグ移籍の可能性が出てきた。

 深夜に及んだ話し合いは、幅広く、細部にわたった。ロベルト氏は「(横浜の斎藤)社長が近日中に決めたいと話したのは、そのとおりだと思います。代表戦で試合に集中していた中村に、現状の説明をし、こういうことが選択肢にあるという話をしました。よく熟慮して結論を出したいと思っています」と言った。

 熟慮という言葉に、既定路線だった横浜復帰からいったん視線を外し、選択肢を広くしようとする考えがうかがえる。これまでオファーのあったエスパニョール、Aマドリードにはいったん断りの連絡を入れている。セルティックには非公式に断りの意思を伝えているが、正式にはロベルト氏がスコットランドに入り、直接、中村の気持ちを伝え、けじめをつける考えだった。

 それだけ横浜復帰を真剣に考えていた。だが、ここに来て年俸以外の条件面で横浜側への不信感が芽生えたことから、軌道修正をせざるを得なかった。まずは、最有力のエスパニョールとコンタクトを取り、再交渉の感触をつかむ作業が必要になる。いったん断りを入れたことから、チームは中村に代わるゲームメーカーのリストアップを開始。しかし、手取り2億4000万円の年俸など、破格の条件を出した中村を獲得したいという意欲は並大抵のものではなく、再交渉への支障はそれほど多くないとみられる。

 まずは数日かけて情報を集め、スペインリーグ移籍した際の環境面を含めて細かく検討する。選択肢が増えることで長期化する可能性も出てきた。

 [2009年6月12日8時58分

 紙面から]ソーシャルブックマーク