<スペインリーグ:バルセロナ1-0エスパニョール>◇12日◇バルセロナ

 エスパニョールMF中村俊輔(31)はバルセロナとのダービー戦でベンチ入りしたが、出場機会はなかった。チームは微妙な判定で取られたPKで決勝点を許し、惜敗した。バルセロナは、FWリオネル・メッシ(22)を負傷で欠きながら、しぶとく勝ち点3を加えた。

 むなしい笛が、敵地カンプノウ・スタジアムの夜空に響いた。試合の最後までベンチを温めた中村は、バルササポーターの「(エスパニョールは)2部に落ちちまえ」というやじを背に、静かにロッカー室に引き揚げた。そして取材エリアに姿を現さず、会場から消えた。どんなに悔しい敗戦後も、マスコミの質問に誠実に答えてきた中村だけに、無念さは推し量れた。

 強豪とのアウェー戦に、ポチェッティーノ監督は堅守速攻、ロングパス中心の戦術を選んだ。つなぎのサッカーをする余地はなく、先発した司令塔MFベルドゥーも、後半開始から快速FWカジェホンとの交代を指示された。パスでリズムをつくるタイプの中村も、監督の試合構想から外れた。「明日の試合はダービーというより、世界一のチームとやるわけだから、頑張りたい」と話していた宿願のバルセロナ戦出場だったが、本人の技量や調子と関係がないところで、チャンスは消えていた。(山本孔一通信員)

 [2009年12月14日8時48分

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