<ドイツ杯:シャルケ1-0Bミュンヘン>◇準決勝◇2日◇ミュンヘン

 【ミュンヘン(ドイツ)2日(日本時間3日)=鈴木智貴、中野吉之伴通信員】シャルケの日本代表DF内田篤人(22)が欧州初タイトルに王手をかけた。フルメンバーの強豪Bミュンヘンを相手に、前半にFWラウルが挙げた1点を守り切って勝ち、決勝進出を決めた。内田はフランス代表MFリベリのマーク役を務め、完封する殊勲の活躍だった。5月21日の2部デュイスブルクとの決勝を制すれば、チームは来季の欧州リーグの出場権を獲得。内田には鹿島、日本代表を通じて8つ目のタイトルとなる。

 後半25分、内田の視界に鬼の形相のMFリベリが駆け込んできた。相手は直前、ロングパスに反応して動きだした際に内田の体に引っかかる形で倒れていた。「怒っているのは分かった。殴られるかと思った」という迫力にも、外見は平静を保った。主審が割って入ると余計なトラブルはゴメンとばかり、涼しい顔でその場を離れた。

 内田の徹底マークが、フランス代表のエースのリズムを狂わせた。前半には1対1で抜かれる場面もあったが決定機は許さなかった。動きをつかんだ後半はほぼ完全に抑え込んだ。いらついた相手から、しつこくファウルを仕掛けられたが、挑発に乗らず淡々と自分の仕事を遂行。マーク役としての勝負は完勝だった。

 内田

 一番はボールを持たせず、ドリブルさせないこと。ボールを持ってしまったら、スピードに乗せたくないんで、なるべく距離を開けずに詰めること。相手はワントップだったし、中央は意識せず、リベリに注意を払っていた。

 2-0で勝利を収めた昨年12月のリーグ戦に続くリベリ斬り成功で、“極意”を語る口ぶりにも自信が満ちていた。

 2月23日の欧州CLインテルミラノ戦と1人しか入れ替わりがない最強メンバーのBミュンヘンを倒し、欧州初タイトルに王手。決勝は2部チームのデュイスブルクが相手で、事実上の決勝とも言われた。それでも内田は「次に勝たなきゃ意味がない。2位になるんだったら、やらない方がいい」とタイトルへのこだわりを見せた。

 プロ入り後、鹿島と日本代表で7つのタイトルを手にしてきた。鹿島は優勝しないと評価されない厳しい環境。その中で自身も「勝者のメンタリティー」を身につけた。優勝した1月のアジア杯期間中も「サッカーは勝てば評価され、負ければどんなにいいサッカーをしていてもダメだといわれる。勝つことで自信が生まれ、チームが成長する」と話していた。5月の決勝で8個目のタイトルを奪い、まだまだ成長を続けるつもりだ。