<ブンデスリーガ:シュツットガルト3-0シャルケ>◇6日◇シュツットガルト

 スロースターター返上だ!

 日本代表FW岡崎慎司(25)が、今季リーグ初戦となるシャルケ戦に後半から途中出場。終了間際の44分に今季初ゴールを決めた。リーグ戦初戦での得点は、清水時代を含めても自身初。ドイツ移籍後、初得点までリーグ戦11戦、875分もかかった男が、今季は出場わずか11分で結果を出した。シャルケDF内田篤人(23)はベンチ入りしたものの、出番はなかった。

 驚くほどあっさり決めた。岡崎は2点リードの後半34分にハイナルに代わってピッチに登場。同44分に自陣からのロングパスを右サイドで受けると、ドリブルでDFを1人かわし、ペナルティーエリアのすぐ外から左足でゴールを狙った。「しっかりと、いい踏み込みから蹴れた。右足でも決めたことがない」という会心のシュートが、ゴール左上へ突き刺さると、ベンチ前でイレブンにもみくちゃにされた。

 初得点まで生みの苦しみが続いた昨季とは違う。昨季は2月の移籍の時点で、前所属清水とシュツットガルトの間に契約手続きのトラブルが発生。国際移籍証明書が発行されず、クラブに合流しながら、試合に出場できない状況も経験した。独デビュー後も、初ゴールまではリーグ戦で875分を要した。それが今季は11分で1点。その裏には「監督にはコンディションが良くないと言われている。動けているところを見せないと。見せる場面はここしかなかった」という意地があった。

 スロースターターの岡崎だが、09年はその年の初戦となった1月20日のアジア杯最終予選イエメン戦で、日本代表としてゴールを決めている。すると同年10月8日香港戦、14日トーゴ戦で2試合連続ハットトリックを達成するなど、代表として年間15得点。国際サッカー歴史統計連盟(IFFHS)の世界得点ランキング(A代表公式戦、五輪最終予選、クラブの国際大会ゴールで算出)で、ドログバ(チェルシー)らを差し置いて、1位に輝いた。

 岡崎は今後、10日の韓国戦、そして9月のW杯アジア3次予選を控える。「韓国はレベルが高いけど、僕らのほうが上だというのを見せておかないと。W杯予選もあるし。韓国戦で大事なのはつなぐことと、戦うこと。競り合いのところをしっかりやっていく」。この日の初戦ゴールで、09年の再現といきたい。【中野吉之伴通信員】

 ◆岡崎の開幕戦

 得点はプロ入り後初。05年にJ1清水に入団し、1、2年目はベンチ外。3年目の07年に初めて開幕戦に出場するも無得点で、シーズン初ゴールは出場2戦目。初めて2ケタの10得点を記録した08年も出場2戦目。自己最多14得点の09年もリーグ戦出場3戦目。13得点の10年も出場2戦目。J1で開幕戦ゴールは1度もなかった。シュツットガルト移籍後も、昨季の初得点はリーグ出場11戦目(公式戦は13戦目)。ちなみに、A代表で年間15得点を挙げて「世界得点王」に輝いた09年は、1月20日の「A代表開幕戦」アジア杯予選イエメン戦で同年のA代表初ゴールをマークしている。

 ◆昨季の岡崎

 2月に清水からシュツットガルトに合流したものの、同12日のニュルンベルク戦には契約問題のトラブルでベンチ入りできず。同17日の欧州リーグ・ベンフィカ戦がシュツットガルトの一員としてのデビュー戦となった。またリーグ戦は20日のレーバークーゼン戦が初出場。だが主に左サイドでの低い位置からの守備を強いられ、得点できず。公式戦13試合、リーグ戦11試合目となった5月7日ハノーバー戦で、ようやくクラブの1部残留を決める貴重な初ゴールを挙げた。