サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会で、ユニホームの背番号に独特のフォント(字体)を採用したチームが目立つ。例えば日本代表のホーム用は、流線形の数字に謎の切れ目が施された。不思議な形はどこからきたのか。多くのユニホームを手がけたアディダスとナイキに取材すると、見やすさや国の歴史といった、それぞれの思いが浮かんだ。
「よりモダンでスピード感を表現するデザインを追求した」。アディダスジャパンの広報担当者が明かした。重視したのは「視認性」だという。
近年、テレビに加え、スマートフォンなどを通じたストリーミング視聴が飛躍的に増加。小さい画面で見分けやすい背番号へのニーズがある。同社は「スタジアム観戦、ストリーミング、デジタルプラットフォームで、最高レベルの視認性を確保するデザインを追求した」と説明した。同様の背番号は、アディダスのユニホームを使うアルゼンチンやベルギーなどでも確認できる。
一方のナイキ。決勝トーナメントで王国ブラジルを撃破したノルウェーのエース、ハーランドの背番号9など、本来なら曲線で描かれるはずの部分がとがっている。
ナイキの担当者によると、古代スカンディナビアで使われた「ルーン文字」に着想を得た。ノルウェーサッカー協会と共同開発する際、らしさを感じさせ、国のアイデンティティーに根ざした表現を目指した。
同じくナイキ製のウルグアイにも物語がある。自国開催の第1回大会で優勝。交流サイト(SNS)で「ユニホーム研究家 ともさん」として情報発信する友好竜二さん(50)は「首都モンテビデオの競技場にある優勝記念プレートの字体が、今大会の背番号と似ている」と分析する。「栄光の記憶を背番号に込めたのではないか」
背番号の在り方は、国内でも議論されてきた。Jリーグによると、スマホなどでの視聴時に見にくいという指摘があり、視認性に配慮して独自開発した統一フォント「Jリーグキック」の使用を2021年に始めた。ただ字体も含めクラブの伝統だとする声も根強く、統一フォントを使うかどうかの判断は現在、各クラブに委ねられている。
友好さんは「フォントにも表現したい誇りや思いが込められており、ユニホームをまた違った視点で楽しんでほしい」と語った。(共同)


