[ 2014年2月18日8時38分

 紙面から ]女子SP滑走順のドローでくじを引いた浅田と金姸児(後方右から2人目)

 浅田真央(23=中京大)が大技継承を誓った。フィギュアスケート女子ショートプログラム(SP)を控えた日本選手3人が17日、記者会見に臨んだ。尊敬する人に、女子史上初のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を決めた伊藤みどりさん(44)を挙げ「受け継いでいけたらいい」と宣言。滑走順は地元ロシア選手の後の30番目の大トリとして、19日午後11時20分(日本時間20日午前4時20分)ごろの演技が決まった。

 浅田の頭にはすぐにあのダイナミックなジャンプを跳ぶ姿が浮かんだ。だから、「全競技も含めた中で尊敬する人はいるのか?」という海外メディアの質問にも、答えは1つしか考えられなかった。氷上から高く体を飛び出し、3回転半回す姿-。幼少期から敬愛する伊藤みどりさん-。

 浅田

 小さいころから憧れていました。五輪でトリプルアクセルを跳んだのを、自分も受け継いでいけたらいい。ソチ五輪でも跳べたらいい。

 よどむことない「継承宣言」。89年の世界選手権で決めた女子選手初の3回転半ジャンプはギネス記録になった。92年アルベールビルでの成功は五輪史上初の快挙だった。いま、世界でそのジャンプを跳べるのは自分だけ。自負と責任感。女子フィギュアの歴史に、その大技を絶えさせてはいけない。その決意を第一人者の名前を挙げることで、確かに示した。

 この日行われたSPの滑走順では、険しい道が敷かれた。最終30番滑走で、その直前は地元ロシアのソトニコワ。8日の団体戦女子SPではリプニツカヤへの「ロシア!

 ロシア!」の大歓声に心が乱れ、緊張感にとらわれて3回転半を転倒した。

 抽選ではそのリプニツカヤも同組となった。17番目に滑るライバル金妍児(韓国)らの成績が出てからの最終滑走。「ロシア包囲網」に加え、団体戦での3回転半の失敗。個人戦を不安視する雰囲気もある中での自信に満ちた「継承宣言」だった。

 その言葉を支えるのは絶好調を保つコンディションだろう。15日に5泊6日のアルメニア合宿からソチに戻って以降、「昨日、今日とすごくいい状態」。この日の練習では3回転半は5本中3本、戻ってからの2日間では計13本中9本成功。さらに連続3回転もバシバシと決めている。アルメニアでは調子が上がらずに「焦っていた」というが、佐藤コーチに「できるときも、できないときもある。気持ちを受け止めて練習しなさい」と諭され、気持ちの整理が付いた。心は落ち着きを取り戻した。決戦の地に戻ってから、一切の不安はもうない。

 「いま、練習では大きな負担になっていないと思うし、それがあるから自分も強くいられる」。そう話した代名詞のジャンプとともに。あこがれの人と同じように躍動感ある3回転半をソチのリンクに描いたとき、それは一番輝くメダルへの飛翔(ひしょう)にもなる。【阿部健吾】