今季のファーストステージ、同じディビジョンだった富士通と鹿島の対戦は、残り2秒で富士通キッカー西村豪哲のフィールドゴールが決まり、22-20で富士通が劇的勝利をおさめた。両チームの直接対決は2勝2敗の五分だ。富士通藤田智監督と鹿島森清之監督が、21日に迫ったXボウルについての決意を語った。-富士通はここまで8戦全勝で勝ち進んできました。ポイントになる試合というと?藤田監督

 間違いなくファーストステージ最終戦の鹿島戦ですね。そこにチームとしても照準を合わせていましたし、あの試合を勝てたことで、勢いに乗ることができました。-試合を重ねることで、チームとして成長した点というのはどのあたりですか?藤田監督

 去年よりは落ち着いて試合運びができるようになったと思います。反則やアサイメントの部分とかもったいないなと思っていたところも、良くなってきているところがありますね。-一方、鹿島は7勝1敗で勝ち上がってきました。唯一の敗戦は富士通戦。選手たちは今回のXボウルは「リベンジ」という気持ちもあるのではないですか?森監督

 確かに、あの負けも選手たちのひとつのモチベーションだと思います。ファーストステージでは完敗でしたので。-お互いのチームについて、どのようにみていますか?森監督

 富士通は攻守蹴、すべてにおいて能力の高い選手がいる強いチームです。ただ、前回の対戦からは僕らも成長している部分はあると思います。藤田監督

 選手たちには「ファーストステージの鹿島とは、違うチームだぞ」と話をしています。準決勝(パナソニック電工戦。0-17から見事な逆転勝利)をビデオで見ましたけど、本当にスキのないチームだと…。頭痛いです…。森監督

 チームの質は2カ月前と比べてお互いに上がっていると思いますので、前回とは違う戦いになると思っています。-ズバリ、試合のポイントはどのあたりだとお考えですか?森監督

 相手が富士通だからではなく、ラインで攻守にわたって有利にたたないと。まずこれが一番です。個人名をあげるなら、キッカーの西口功将ですね。西口は、その日の調子の良し悪しがモロに結果に出てしまい、多少の波がまだあるので…。藤田監督

 うちも同じです。ラインで優位に立ったほうが流れをつかむ、と思っています。そういった試合だとスペシャルチーム、特にキッカー、パンターの出来がカギになります。ここまでくると、ごまかしがきかないですから。やりたいことをやりきれるか、相手の攻撃を防ぎきれるか、そういうギリギリのところで勝敗が決まるような気がします。-いよいよ試合が迫ってきています。どのような心境ですか?森監督

 選手時代よりもコーチのほうが緊張しますね、僕は。情けない話なんだけど、いろんなことが分かってくる分、年々苦しくなります。-コーチのほうが緊張するんですか?藤田監督

 僕なんて、ゲーゲー言ってますよ(笑)。1試合終わるとヘトヘトです。森監督

 1年づつ、いろんなことがわかってくる。思いが強く、深くなるからかな。いつか慣れる慣れると思っているんだけど、全然慣れない。藤田監督

 社会人の場合は、引退もある。引退ってことは、終わったらそこでその選手のフットボール人生も終わり、ということだから余計に思いが入りますよね。森監督

 社会人コーチになってから、「大きなけががないように…」とか試合前にお参りするようになりました。藤田監督

 安全を守る技術については、やかましいくらいに言ってます。大きな舞台になればなるほど、気持ちが盛り上がってそうした基本的なところもおろそかになりやすいですから。-最後に、Xボウルへの決意をお聞かせください。森監督

 会社の業績も厳しい中、アメフトをやらせてもらえることはありがたいこと。企業スポーツの存在意義もそこにあると思う。試合までにいい準備をして、しっかり力を出したい。ベストを尽くします。藤田監督

 応援してくれる会社の方々、地域のみなさんに感謝しないといけない。それに応えるためにも、いい試合をすること。相手に失礼のないように、皆さんに失礼のないようにいい試合をしたいです。富士通が悲願の初優勝を手にするのか。鹿島が2度目の頂点に立つのか。決戦は、3日後だ。