東洋大が5時間13分4秒で初優勝を飾った。1、2区で服部勇馬(4年)弾馬(はずま、3年)の両エースが区間賞の快走で流れをつかむ。3区は昨季までメンバー外の口町亮(3年)が区間新まで3秒差と迫る記録で区間賞とMVP賞を獲得するなど、全8区間で区間賞4人、2位2人と服部兄弟に続く選手が活躍。10月に出雲駅伝を制した青学大の3冠を阻止した。

 まるでスプリンターのような全力疾走だった。残り1キロ付近から、東洋大の選手たちは顔をゆがめながら腕を振る。「青学大の3冠阻止」へ数秒のロスも許さない。気迫が伝わる。昨季は無冠。今季も先月の出雲を制した青学大の3冠ムードが漂った。逆風の中で「頂点への再出発。その1秒をけずりだせ」のスローガン通りの走りをみせた。

 1、2区で青学大を突き放した服部兄弟には頼らない。3区では「プリパラ」などアニメ好きの口町が区間新に3秒迫る好走でリードを保つ。5区では出雲でコースを間違えた高橋が青学大に先行を許すも「3冠だけは許さない」とラストスパートで同タイムの2位に食い込む。6区で再逆転し、7区で27秒差をつけると、最終8区は上村が「山の神」神野の追い上げを許さなかった。

 青学大は一色、小椋、久保田、神野と4人のエースを誇る。服部兄弟頼みだった東洋大の酒井監督は「脱エース」を唱えた。アンカー上村は服部兄弟が4キロなら6キロ走るなど「脱エース」の意識改革が浸透。昨年1区の付き添いで、今年の箱根も4区で給水をしていた口町の急成長など、チーム力は確実に上がった。

 1区で快走したエース服部勇は9月に左アキレスけんを痛めた影響で、まだ本調子ではない。酒井監督は「箱根では今大会以上に、もっと走る」と自信を漂わせた。青学大の3冠阻止に続き、箱根では青学大の連覇を阻み、2年ぶりの制覇を目指す。東洋大が青学大1強の流れを変えた。【田口潤】