東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)は明日2日午前8時に東京・大手町で往路の号砲が鳴る。連覇を狙う青学大は12月31日、神奈川・相模原キャンパスで年内の練習を打ち上げた。前回総合優勝の立役者で山登りの5区にエントリーされた神野大地主将(4年)は、早朝8キロ、昼はクロスカントリーコースを14キロ走った。ケガに苦しみ続け、一時は出場も不安視されたが、原晋監督(48)も連覇へ「山の神」起用を最終決断した。

 間に合った。年内最後の青学大の練習。神野はクロスカントリーロードなど計22キロを走りきった。引き締まったカモシカのような脚と研ぎ澄まされた表情が復調ぶりを物語る。体重も昨年と同じベストの43キロ。昨年を100としたら「今は60~70。控えめに言ってます」とニヤリと笑った。

 昨年は山登りの5区を1時間16分台の驚異的なタイムで初優勝に貢献した。山の神と呼ばれたが、その反動は大きかった。2月に左大腿(だいたい)骨、6月に右すねを疲労骨折。実戦復帰した11月の全日本後も左すねに痛みが生じた。12月に本格練習再開も練習後に痛みは出る。一進一退が続いたが、本番まで10日を切ると、強い意志が伝わるように、痛みは消えた。

 心強いサポートもある。5区のラスト1・2キロの22キロ地点の給水。同級生で寮長の伊藤弘毅が担当する。1年から故障の連続。引退勧告も乗り越えて、初の箱根出場が見えた昨夏に右ふくらはぎ肉離れで戦線離脱した。その後もくさることなく、寮長として、ケガに苦しむ主将を支えながらチームをまとめた。「弘毅の分まで走れればいい。笑顔でいきたい」と最後の給水でスパートし、最初にゴールテープを切る決意だ。

 目標タイムは昨年より約4分遅い1時間20分だが、原晋監督は「1時間18分もある。上方修正できた」と太鼓判を押す。今年の作戦名は「ハッピー大作戦」。幸福度を表すハッピー指数は「ほぼ100%」と断言。神野の復調とともに、連覇の目標は限りなく近づいてきた。【田口潤】

<展望>

 青学大が優勝争いの本命。全日本を制した東洋大と前回2位の駒大が追う。青学大は2区の一色、5区の神野、7区の小椋ら前回の優勝メンバーが多数残る。エースの久保田や前回4区区間新記録の田村は補欠に置き、臨機応変に対応できる。東洋大はエース服部勇を2区に据え、弟の弾馬は補欠から1区か3区に投入する見通し。駒大は往路重視。1区に其田、2区に工藤、3区にエース中谷を並べた。早大は2区の高田ら前回経験者も多く、3強を崩す可能性も。出雲2位の山梨学院大、前回4位の明大、出雲、全日本とも5位の東海大も上位をうかがう。

 ◆出身別データ 登録選手334人の出身高校をみると最多は西脇工(兵庫)の11人で、豊川工(愛知)伊賀白鳳(三重)が9人、西京(山口)8人、浜松日体(静岡)7人、佐久長聖(長野)須磨学園(兵庫)大牟田(福岡)6人。出身高校に基づく都道府県別では兵庫の25人が最多で、千葉県の23人、愛知の22人という順。また、奈良県は唯一の0だった。