リオ五輪陸上男子20キロ競歩7位の松永大介(22=東洋大)が、8月の世界選手権(ロンドン)代表に内定した。1時間19分40秒で連覇を達成した。左膝の故障で2月の日本選手権を欠場。完璧でない状態で、力を証明した。代表3枠は日本選手権を制した高橋英輝(24=富士通)と松永が内定。残り1枠は藤沢勇(29=ALSOK)で決定的となった。

 松永はフィニッシュテープを切ると「よっしゃ!」とほえた。3キロすぎから独歩になり、逃げ切った。左膝痛で日本選手権は欠場し、練習を再開したのは3週間前。状態は「80%」という中、結果を残し「ホッとした」と笑顔を見せた。取材エリアを抜けると、1人で歩けなくなった。「歩き込み不足」の影響で、薄くなった足裏の皮がめくれていた。仲間に担がれ、控室に入った。力を尽くした。

 リオ五輪は7位も、胸は張れなかった。東洋大の報告会。競泳・萩野、陸上・桐生の首にメダルが輝く脇で、自分は何もなかった。「あの2人と並べてほしくなかった」と振り返るも「メダルを絶対取ろうとの気持ちになった」と糧にした。

 世界選手権は「東京五輪へ自信をつけるという意味でも、目標はメダル1点」。4月から、リオ五輪の男子競歩代表に2人を輩出した富士通に入社する。

 ◆男子20キロ競歩代表選考 選考会がすべて終了した。同代表は最大3枠。日本選手権で優勝した高橋と松永が内定。残り1枠は2月の同選手権2位の藤沢(1時間18分23秒)で決定的。この日、2位だった野田(1時間20分4秒)と、タイム差は歴然。代表は4月中旬に発表される予定。選考方法は以下の通り。選考会は今大会と日本選手権。いずれかで日本人1位になり、日本陸連が定めた1時間20分12秒の設定記録を突破すれば自動的に代表入り。それ以外は選考会の日本人3位以内から選ばれる。