目指すはダブル代表! 陸上の15年世界ユース選手権で短距離2冠を達成したサニブラウン・ハキーム(18=東京陸協)が男子100メートルに参戦する「セイコーゴールデングランプリ2017川崎」を翌日に控えた20日、川崎市等々力陸上競技場で会見。6月の日本選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)は100メートルと200メートルに出場し、ともに世界選手権(8月、ロンドン)の代表の座を狙うと明かした。2年連続の川崎の舞台では100メートルの参加標準記録10秒12を目指す。

 サニブラウンはロンドンへの道筋を思い描いていた。試合会場で会見に出席。「海外でトレーニングを積んで得たスキルをこの大会でお見せできればいい。緊張はしてないです」と意気込んだ。今春の高校卒業後はオランダを拠点に練習。上半身を鍛え、課題だった体のバランスを強化し、後半もフォームが乱れなくなった。目指すは世界選手権の参加標準記録10秒12。4月に自己記録10秒18をマークした伸び盛りの18歳は「いい条件でレースができれば、参加標準記録も切れる」と話した。

 世界選手権には100メートルと200メートルのダブル出場を目指す。日本選手権は「恐らく両方出る。両方に出ておいた方が得」と語った。ともにロンドンの内定が出たら「両方行くと思う」。200メートルでは4月に20秒41を出し、参加標準記録(20秒44)を切ったが、100メートルは突破していない。現在、100メートルで参加標準記録を超えているのは桐生と山県のみ。10秒12を切れば、ダブル代表も一気に現実味を帯びてくる。昨夏のリオデジャネイロ五輪は日本人で短距離2種目に出場した選手はいなかった。15年の世界ユース選手権で2冠を達成した20年東京五輪のホープが、新時代の到来を告げる。

 会見では同席したリオ五輪銀メダルのジャスティン・ガトリン(米国)からも「才能はある。レースにフォーカスして、考えすぎない。一貫性のある波のないレースをしていけばいい」と金言を授かった。前回大会で対戦した時は0秒32差をつけられた。その言葉にうなずきながら耳を傾けたサニブラウンは「光栄です。ありがとうございます」と語った。世界が認める才能が本格化する川崎にする。【上田悠太】