パラ陸上界の“美魔女”が進化する。リオデジャネイロ・パラリンピック女子マラソン(T12=視覚障害)銀メダルの道下美里(40=三井住友海上)が日本選手権(10~11日、東京・駒沢陸上競技場)の5000メートルで18分台を目指す。

 福岡市の大濠公園。伴走者とともに池の周りを笑顔全開のスマイル走法でさっそうと走り抜ける。リオ大会後は「スピード強化」を重点に置き、5000メートルのトレーニングにも励んでいる。先月の東日本実業団選手権では19分10秒66の日本新記録で優勝。日本選手権では「18分台を目指します。男子にも勝ちたいし、ボチボチ出しますよ」と自信をのぞかせた。144センチの体で海外勢に勝つために歩幅を広げるフォームの改良にも取り組んでいる。

 40歳。道下は年齢を重ねても記録が伸びている。「己を知ることが大切」として毎日、食べ物や調整方法などを細かく記録。「準備で勝負は決まる」と言うように、レースでの成功率を高める独自の方法を理解している。20年東京大会は43歳で迎える。「年齢は関係ない。相手に翻弄(ほんろう)されないレースで金メダルを取る。人生40代からが面白くなりますよ」。経験値が増し、大人の色気で勝負する。【峯岸佑樹】

 ◆道下美里(みちした・みさと)1977年(昭52)1月19日、山口県生まれ。中2の時、角膜の機能が低下する病気で右目を失明。左目も発症して視力は0.01以下になった。26歳で陸上を始め、31歳でマラソンに転向。14年には2時間59分21秒の日本記録を樹立。16年リオ大会では銀メダルを獲得。趣味は温泉巡り。好きな食べ物はすし。144センチ、36キロ。血液型O。