世界最年少で男子200メートルの決勝の舞台で20秒63で7着だったサニブラウン・ハキーム(18=東京陸協)はゴールすると座り込んだ。

 約40秒間。決勝の独特の空気の中でレースを頭の中で回想していた。

 「あそこで足が痛くなく、足が回せていたら。調整も含めて世界選手権かな。強い人が勝つ。どんなに早いパーソナルベストを持っていても、全ラウンド走りきって、1番にならなくては意味がないな」

 「あそこ」とはコーナーを曲がり終える直前。もともと違和感があった、右ハムストリングに痛みが走った。顔をゆがめ、歯を食いしばる。足が前に運べない。「思うように動かなくて悔しいですね」。抜群の加速で序盤は勢いがあったが、急失速した。直線では何とか足を前に出すも、どんどん相手の背中は遠のいていった。

 世界選手権の決勝は初の大舞台だったが「とことん楽しんでやろうと思ってやってました。ただファイナルにいけたとはいえ悔しい世界選手権ですかね。こんなので満足してはいけない」。手応えと悔しさを成長の糧にしていく。