雌伏の時を経て復活を示した。15年名古屋ウィメンズマラソンで2時間22分48秒の快走後、左足首の故障に苦しんでいた前田彩里(さいり、26=ダイハツ)が5区(10・0キロ)で32分50秒の区間賞。チームを3年ぶりの表彰台となる3位に導き、最優秀選手にも輝いた。来年3月の名古屋ウィメンズでは15年世界選手権以来2年半ぶりのマラソンに挑む。優勝は2時間16分45秒のユニバーサルエンターテインメントで、5年ぶり2度目だった。

 力強い足取りで、前田はどんどん前へ進んだ。6位でタスキを受けると、2人抜き。区間2位の中村(ユニバーサル)に18秒差を付け、完全復活を証明した。「区間賞を取れてうれしい」。その何げない言葉に実感がこもっていた。

 苦しかった。2時間22分48秒の当時女子マラソン日本歴代8位を出した15年3月の3カ月後。左足に腫れが出た。2カ月後には世界選手権に出場するも、2時間31分46秒の13位と力を出し切れず、代償も大きかった。16年3月に手術に踏み切り、目標のリオ五輪への道は途絶えた。術後2、3カ月で走れるはずが、1年間走ることができなかった。表舞台から姿を消す間に安藤友香ら若手が台頭。葛藤の中で再起を期していた。来年3月の名古屋ウィメンズは「アジア大会の代表を狙いたい」。再び世界と戦う。【上田悠太】