全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は18年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。

 ホンダは絶対的なエースである設楽悠太(26)を外したメンバーで東日本予選に優勝。ディフェンディングチャンピオンの旭化成、前回2位のトヨタ自動車と並ぶ優勝候補に躍り出た。

 なんといっても設楽の存在が大きい。15年、16年と最長区間の4区区間記録を2年連続で更新した選手。リオ五輪には1万メートルで出場。今季は初マラソンだった2月の東京、9月のベルリンと2試合連続でサブテン(2時間9分台)を記録し、マラソンでも東京オリンピックの有力候補に挙げられる。

 設楽は独走した方が「リズム良く」走ることができるタイプ。東京マラソンの中間点は1時間01分55秒の超ハイペースで通過し、ベルリンの1週間前にはハーフマラソンで1時間00分17秒の日本記録をマークした。どちらも攻撃的な走りで長距離関係者を驚かせたが、設楽にとっては自分のリズムで走った結果だった。

 ニューイヤー駅伝は「区間も記録もこだわらない。チームが優勝するための走りをする」と話す。前回までは区間記録更新や連続区間賞に意欲を見せていたが、今は肩の力を抜く考え方に変わってきた。

 「僕の場合“この試合で記録を”と狙うよりも、練習からの流れで試合を走る方が記録が出る」。とあくまで自然体で元日の走りに挑む。

 設楽が例年通り4区を走れば、3区終了時点でトップから30秒程度の差があっても4区でトップに立つ展開に持ち込める。

 大沢陽祐監督は優勝候補というチームへの評価には、「そこまで強いのかどうか」と控えめだ。だが、「設楽と山中は本当に強い」と、2年目の山中秀仁(23)にも大きな信頼を置く。設楽を温存した東日本予選でも最長区間の2区を区間2位で走り、チームを優勝争いの流れに乗せた。本番では3区を任せられる可能性が高く、設楽でトップに立つためにもその走りにかかる期待は大きい。

 ホンダの過去最高順位は94年の2位。悲願の初優勝のためには、5区以降の踏ん張りが必要になる。リオ五輪マラソン代表の石川末広(38)や、マラソンで2時間9分台を持つ佐野広明(29)、9月のシドニーマラソンに優勝した服部翔大(26)らがキーマンになる。また松村優樹(24)や木村慎(23)、足羽純実(22)といった若手の勢いも重要になるだろう。

 4区の設楽が優位なポジションを築くのは間違いない。その後の区間で誰が決定打を放てるかがホンダの浮沈のカギとなる。