全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は18年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。

 MHPS(旧三菱重工長崎)は井上大仁(24)が、今年8月の世界陸上マラソン代表に選ばれチームの中心選手に成長。さらに14年アジア大会マラソン銀メダルの松村康平(31)も健在で、11月の九州予選ではディフェンディングチャンピオンの旭化成を破った。今大会では優勝争いを繰り広げそうだ。

 井上は前回、最長区間の4区で区間3位と好走し、4人抜きでチームを3位に押し上げた。チームは5区で5位に後退したが、6区で的野遼大(25)が1人を抜き、MHPS過去最高順位の4位を達成した。

 3年連続で最長区間への出場が確実な井上は「この1年やって来たことで、前回よりも強くなっているはず。今回は区間賞が目標です」と意気込む。

 井上が走る予定の4区は、9月にハーフマラソンの日本記録を出した設楽悠太(26=ホンダ)や、前回区間賞の市田孝(25=旭化成)が起用される可能性が高く、井上のライバルとなる。「(前半型の設楽に)追いつかれても食い下がって、後半で引き離したい」と、明確なイメージも描く。チームが終盤まで優勝争いをするためにも、井上で先頭集団に加わっておく必要がある。

 MHPSは井上以外にも松村、さらには別大で2時間10分台で走った木滑良(26)と力のあるマラソンランナーがいる。前回のチーム最高順位は3区木滑、5区松村の布陣で成し遂げたものだ。

 今季は、九州予選ではアンカーで出場してゴールテープを切った定方俊樹(25)が力をつけ、前回1区5位の目良隼人(25)と中距離出身の的野がトラック種目で自己記録を更新。目良と的野は井上と同学年で、同じ長崎県出身。タイプは三者三様だが、お互いに刺激し合って成長している。

 現時点ではスピードもある木滑が前回同様3区の可能性が高いが、目良と的野の状態が上がれば、「攻撃的な布陣」(黒木純監督)を敷くことも可能になる。木滑が6区か7区に起用されるようなら、黒木監督が終盤勝負を意識した証。そのときのMHPSは明確に優勝を狙っている。