文化放送で午前7時半から生放送された「第94回東京箱根間往復大学駅伝競走実況中継」に、早大OBでGMOアスリーツの花田勝彦監督(46)が解説、順大OBで、05年の5区で11人抜きを達成し、1時間9分12秒の記録を打ち立てた“初代山の神”トヨタ自動車九州の今井正人(33)がゲストで出演した。

 青学大が復路で東洋大を逆転し、4連覇を達成した一方、往路3位の早大も、8区で5位に順位を落としたものの総合3位でフィニッシュした。花田監督は「終わってみれば青学大が強かったという印象があります。そして往路では若い東洋大の攻めの走りが本当に来年楽しみな走りでした。早大も粘り強さが目立ちました。上の3校はしっかり力通りの走りを見せた印象です」と総括した。

 一方、優勝候補の一角に数えられた東海大が往路9位と沈んだものの、総合5位と巻き返したことについては「出入りの激しい駅伝になってしまったかな、両角監督も苦い思いをしたかなという印象を受けました」と語った。

 予選会8位の城西大が7位と躍進し、3年ぶりにシード権を獲得したことについて、花田監督は「城西大はしっかり山を制覇したことが大きかったかなと感じました」と分析した。その上で「5区は距離が短くなったので重要度が下がるんじゃないかと言われていましたが、4区と5区、2つの区間、セットでの重要度がぐっと上がりました。ここで大きく差が出る」と強調した。また「あと7区ですね。以前は勝負の7区でしたが、今は割と少し力の落ちる選手が多いんですが、そこに強い選手を持ってこれる青学大は強いですね」と青学大の強さを、あらためてたたえた。

 “初代山の神”今井も「山を制覇すると有利に進めますね。やはり前に行ける、ジャンプアップできる、いい流れが作れたと思います」と城西大躍進のカギは山だったと分析した。

 一方で、わずか14秒差でシード権を逃した母校の順大へ「これも結果ですので、選手それぞれがこの結果でどう思ったか、早めにこの思いをチーム全体で共有してこの悔しさを晴らしてもらいたいと思います。また病気で苦しんだ花沢選手のあの姿を後輩たちの目にどのように映ったか。しっかり目に焼き付けて、花沢選手に面倒みてもらった後輩たちがその感謝の気持ちをしっかり返せるようにと思います」とエールを送った。

 青学大で8区を走った下田裕太(4年=加藤学園)は、在学中に箱根駅伝を4連覇し、箱根路を無敗で卒業し、花田監督率いるGMOアスリーツへの所属が内定している。花田監督は「箱根駅伝はハーフの距離までですから、マラソンという意味では、青学大の選手だけでなくてそれぞれの選手がこの倍の距離をどう克服するか、さらに厳しいトレーニングを積んで上をめざしてほしいと思います」と大学を卒業後、陸上を続ける選手に向け、エールを送った。

 その上で「下田選手はマラソンをやる上では、故障が多かったり、フォームの面でもまだまだ改善するべき面がたくさんありますから、焦らずじっくり作っていきながら、大学でも2年3年かけて強くなりましたから、社会人になっても時間をかけながらきっちり上に上げていきたいです。あとは、マラソンは孤独なスポーツなので、肉体的なものと気持ちも両方鍛えてほしい」と、時間をかけて下田を育成していく考えを示した。

 今井は「箱根駅伝4年間いろいろな思いで走ったと思いますけど、気持ちの部分で切り替えるのが大事。あとは焦らず、自分自身が焦らずじっくり体づくりをするのが大事です」とエールを送った。

 来年以降の戦力図について聞かれ、花田監督は「上り下りが青学大はいますから。また今回(3年生の)森田君が2区を走りましたからまだまだ強いですけれども、そこに東洋大、早大、東海大、順大がどう切り込んでいくか期待したいです」と展望を語った。今井は「やはり来年も5連覇を狙ってくる青学大がいますが、それに絶対やってやるんだ、なんとしても勝ってやるぞというチームがもっともっと増えてくれれば盛り上がると思います」と、他校の奮起に期待した。