IAAF(国際陸上競技連盟)ワールドチャレンジ第2戦「セイコー・ゴールデングランプリ大阪」(日刊スポーツ新聞社共催)が20日、ヤンマースタジアム長居で開催される。ニッカンスポーツ・コムでは、今日から世界から集結するトップアスリートに挑む日本の6選手を日替わりで紹介する。第1回は男子100メートルに出場する宮本大輔(19=東洋大)。世代交代を狙う。

    ◇    ◇

 常に世代のトップを走り続けてきた。山口・周南中では10秒56の中学新、京都・洛南高では10秒23の高校歴代3位のタイムを出した。今春から東洋大に入学した期待のホープだ。

 世界選手権王者ガトリン、桐生、山県、多田、ケンブリッジら国内外の強豪との対戦となる。「選ばれると思っていなかった。びっくりした」と正直な気持ちを明かしながら「トップ選手の中で、いかに自分のレースができるか」と意気込む。

 山口・大島小(現鼓南小)時代は鼓南野球スポーツ少年団にも所属していた。そこでも俊足列伝は事欠かない。高学年から守備位置は主にセンター。「レフトオーバー、ライトオーバーは僕が取りに行った」と広すぎる守備範囲を誇っていた。

 打席は左。打順が回ってくると相手からはセーフティーバント対策として「サードが異常に前に出てくる」という“宮本シフト”をひかれた。出塁すれば「けん制球がすごくたくさん来た」と笑う。それでも当たり前のように「3塁まで2球」と二盗、三盗を初球で決めていた。1度、ホームスチールも成功させたが「それからはキャッチャーから警戒に警戒を受け、それ以来できなかった」と回想する。

 まさに規格外の俊足。野球ゲーム「ファミスタ」に登場する「ピノ」が現実世界に出てきたような存在だった。

 高校までは周囲から追われる立場だった。そこからシニアの舞台に戦いの場が変わり、日本のトップランナーを追う立場になった。心理的変化もある。

 「チャレンジャーの気持ちでやっていけたらいい」

 栄光は過去のものと捉え、記録更新を見据える。【上田悠太】