国際陸連(IAAF)ワールドチャレンジ第2戦「セイコー・ゴールデングランプリ大阪」(日刊スポーツ新聞社共催)が20日、ヤンマースタジアム長居で開催される。国内外のトップアスリートが集結し、白熱の戦いが期待される。

 ニッカンスポーツ・コムでは世界から集結するトップアスリートに挑む日本の6選手を紹介する。第5回は男子100メートルと男子400メートルリレーに出場する多田修平(21=関学大)。

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 1年前は“謎の男”だった。昨年5月、川崎で行われた前回大会の男子100メートルで、のちの世界王者ガトリン(米国)が「誰か分からないが、素晴らしいスタートを切った選手がいた」と目を丸めた。隣でレース後半まで引っ張っていたのが多田。ブレークのきっかけになった大会へ、今年は「ガトリン選手を倒すつもりで臨みたい」と力強い。

 “謎の男”は昨季、飛躍的に力をつけた。6月の日本学生個人選手権では追い風参考ながら9秒94を記録。8月の世界選手権(ロンドン)では400メートルリレーで銅メダルを獲得し、今では小さな大会でも少年少女にサインをねだられる。ツイッターのフォロワー数も昨夏の短期間で、一気に1万人以上増えたという。

 その注目株が今季はもがく。オフはガトリンに認められたレース序盤での「省エネ化」を目指した。米国での武者修行などで足を回転させる「ピッチ」重視から、1歩1歩を力強く踏み出して後半に体力を残す形にした。だが、タイムが上がらず「自分に合っていないスタートと理解できた」と4月中旬から原点回帰を決断。今季の目標に掲げる9秒台とアジア大会制覇へ、地元長居は「相性がいい気がする」。成長物語第2章の幕開けだ。【松本航】

 ◆多田修平(ただ・しゅうへい)1996年(平8)6月24日、東大阪市生まれ。石切中で陸上を始め、大阪桐蔭高時代の自己記録は10秒50。現在は関学大法学部4年。昨年9月に桐生祥秀が9秒98を記録した日本学生対校選手権で10秒07の自己ベスト。好きな食べ物はパフェと肉。趣味はカメラ。家族は両親と弟。176センチ、66キロ。