東洋大が5時間26分31秒の新記録で、2年連続で往路を制した。4区(20・9キロ)で相沢晃(3年)が、大会直前まで左足負傷に悩みながらも1時間54秒の区間新の快走。5年ぶりの総合優勝に向けて大きなアドバンテージを作り、5連覇を狙う6位青学大に立ちふさがった。2位に東海大が1分14秒差、3位は国学院大が2分44秒差で続いた。今日3日の復路は午前8時にスタートする。

   ◇   ◇   ◇

平塚中継所で2位でたすきをもらった相沢は、あっという間に青学大・岩見の背中をとらえた。8秒あった差も、2・5キロ付近で逆転。そして1人旅。細かいアップダウンが多い道を、特徴的な大きなストライドで駆け抜けると、後続との差は広がる一方だった。終わってみれば、2位に3分近く差をつける区間新の快走劇。1、2区で59秒差つけた青学大に、森田の区間新で逆転されてたすきを受け取ったが、むしろ燃えていた。「狙っていった区間新。3区の森田さんも区間新出したので、自分も区間新で走ろうと思いました」としてやったりだった。

しっかりと蓄えてきた結果だ。今季はランニングマシンで8~12%の傾斜をつけて走るメニューを導入。ランニングマシンから落ちそうになるほどの勾配で、1キロ4分のペースで10キロ走る。週2回程度のメニューも「山の人より走ってると思います」と自負。今年は花の2区ではなく、4区に配置された。酒井監督が、他大学の4区は層が薄いと判断し「4区の起伏ぐらいなら平地同様に押していける筋力とスタミナがある」と、同じ学法石川出身の相沢の努力と力量を信じたからだ。当日のエントリー変更で4区となった相沢もしっかりと応えた。

大会直前には、考えられなかった区間新だった。昨年11月の全日本で左腓骨(ひこつ)筋を負傷。クリスマスごろまで痛みを引きずり「本当に箱根駅伝を走っていいのか。走りたくない」と弱音が出るほどに落ち込んだ。それでも大みそかにようやく快方すると、この日も痛みはなく「100点以上の走り」と自画自賛。その走りもあって、大会前に酒井監督が描いた2位に1分以上というプランはクリア、さらに最大のライバルと目された青学大に5分30秒もの大差をつけた。

18年のマラソン界は、東洋大OBが引っ張った。2月の東京マラソンで設楽悠太が日本記録を更新(現在2位)し、12月の福岡マラソンで服部勇馬が歴代8位を樹立。そして19年幕開けに現役生たちが、世界を舞台に戦う先輩たちに恥じない走りを披露。それでも酒井監督はOBらと比較して「箱根駅伝ぐらいで縮こまっててはね」とチームにハッパをかけた。5年ぶりの総合優勝へ、鉄紺の真価を示す時がきた。【佐々木隆史】

◆相沢晃(あいざわ・あきら)1997年(平9)7月18日生まれ、福島・須賀川市出身。須賀川長沼中時代に全中3000メートルで10位。学法石川高に進学し、全国高校駅伝に3度出場。東洋大進学後は、2年生から3年連続で箱根駅伝に出場。178センチ、62キロ。