男子マラソンの川内優輝(32=あいおいニッセイ同和損害保険)が10日、前回大会で日本人31年ぶりに優勝したボストン出場のため、渡米する前に取材に応じた。

川内は「昨年の結果は天候にも恵まれ、マグレぐらいに思われている。最低限入賞を果たしたい」と意気込んだ。たしかに前回大会は気温3・3度、大雨、強風の悪条件だった。スピードあるランナーが力を発揮できず、下馬評を覆し、大サプライズを起こした。男子でアフリカ出身でない選手では17年ぶり勝利だった、そのタイムは2時間15分18秒だった。

今年もレース当日15日の予報は雨で、強い風も吹きそう。川内は「テンションが上がってくる。“泥仕合”の方が望むところ」と、得意である寒い悪条件を大歓迎した。4月からプロになり、「4日連続で地元の温泉」に行けるようにもなった効果もあってか、練習も順調に積めているという。

歴史あるレースの前回チャンピオンだけに、現地では多くのイベントに参加するという。米大リーグのボストンに本拠地があるレッドソックスのホームゲームでも始球式を務める。始球式は初めて。過去に西武や巨人などからオファーを受けたが、プレーボール時間が勤務時間と被っていたため、断るしかなかったという。小学校の時は「鷲宮クラブ」に所属し、白球を追っていたが「補欠でした」と笑い、「届くかどうか。練習していないので」と話した。

今季は世界選手権(ドーハ)での入賞が最大の目標。ボストンには、そのライバルとなりそうな選手も多く出る。川内は「ボストンチャンピオンのプライドを持って、頑張りたい。川内は強いと思わせておけば、有利になる。強さを見せていければ」。プロ初レースは華々しくスタートしたい。