2020年東京オリンピック(五輪)のマラソンと競歩の札幌移転などを話し合う国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会の2日目が10月31日、都内で行われ、今日1日に行われる東京都、IOC、組織委、政府の4者トップ会談へ向け集中審議を行った。東京開催を求めてきた都に対し、組織委とIOCは都の費用負担なし、パラリンピックマラソンの都開催、他競技の都外移転ゼロの条件を提示。関係者によると、その他条件も提示し、都側は移転案を容認する方向だ。

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都内の某高級ホテル。夜10時近くまで、宴会場は盛り上がった。マラソン、競歩の東京開催を主張する小池百合子知事と、札幌移転は決定事項とし意見が対立するIOCジョン・コーツ調整委員長が一堂に会した。「カントリーロード」の替え歌で、ラグビーW杯日本代表応援曲「ヴィクトリーロード」を合唱。4者会談での札幌移転決着へ、くしくも前日、小池氏が発言した「ワンチーム」が演出された。

組織委とIOCが提示した3条件がこの日、徐々に現実のものとなった。国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長と組織委の森喜朗会長が会談し、パラマラソンの東京開催が確約された。パーソンズ氏は「五輪時よりずっと気温が低いと組織委からデータをもらっている」と話し、9月6日午前6時30分にスタートする当初の計画で実施することを約束した。

都が絶対条件として譲れない「都の費用負担ゼロ」も提示。2種目以外の都外移転はしないことも提案した。大会関係者によると、これ以外にも都側に対し、好条件を提案し、落としどころを探った。

パーティーを終え記者団の前に現れたコーツ氏はほろ酔いで「明日は良い日になる」と笑顔。結論に至るかを問われると「間違いない」と断言した。

そもそも会場の決定権はIOCにある上、アスリートファーストを前面に出し、選手の健康が引き合いに出されれば、都側も反対し続けるわけにはいかなかった。

都民感情や都政運営のため、ファイティングポーズを取らざるを得なかった小池氏だが五輪の花形、マラソンが開催都市圏で実施されない、初の五輪となりそうだ。