プロ転向は通過点-。陸上男子100メートル日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が15日、成田空港着の航空機で帰国した。

プロに転向し、新たに契約したプーマ社のウエアとシューズなど身に着けて登場。プーマは陸上界の生きる伝説ウサイン・ボルト氏が着用していたブランドでもある。「地上最速」を究極の目標として目指しているサニブラウンは「プーマをもっと日本の陸上界に広めていきたい。同じブランドを着ることになってとても光栄です。道をたどるわけではないですが、同じ頂点を目指す者として、頑張って行ければ」と語った。今までは別ブランドを主に使用しており、心機一転となる。

プロ転向に関しては「通過点。これからもっと競技力を上げていければ」。かねて「遅かれ、早かれ」将来的にプロになることは心に決めていたという。100メートルで9秒97を出した6月の全米大学選手権の頃から、本格的に考え始め、100メートルでアクシデントもあり準決勝で散った世界選手権(10月閉幕)後に決断。決勝進出を逃し、来年に迫った東京オリンピックで最高の結果を残すための選択をした。

立場はプロになるが、練習拠点は慣れたフロリダ大で変わらず、信頼関係が厚い指導者も同じ。スケジュールもハードな大学生の大会に出ることはなくなり、よりレベルの高いレース選びも可能になる。「自由にいろんなものにチャレンジをしていける環境に自分の身をおける。もってこい」と胸を高鳴らせる。ただ学業面も「オンラインで授業をとったり、しっかりやっていく」。両立を果たし、「卒業」をするつもりだ。

「もっと人の前に立つことが増える」と自覚をにじませる。この日も取材を終えると、「ありがとうございました。またよろしくお願いします」。そう礼儀正しく、お辞儀をして空港を後にした。