世界最速のウサイン・ボルト氏(33=ジャマイカ)が21日、地元の人たちと国立競技場の完成を祝った。同競技場周辺の新宿区、港区、渋谷区商店会などによる「OUR SPORTS DAY」のメイン企画として「ライトニング・ボルトポーズ」を同時に行うギネス記録に挑戦。ボルト氏もゲストとして参加し、国立競技場に隣接する軟式野球場で2682人の「世界記録」を樹立した。

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「みんなで世界記録をつくりましょう」。ボルト氏の呼びかけに、会場が沸いた。寒空の中、子どもたちや高校生、家族連れ…、国立競技場に隣接する神宮軟式グラウンドに多くの人が集まった。東京オリンピック(五輪)に向けて陸上のサブトラックが敷かれた会場が、ハチマキ姿の「挑戦者」で埋まった。

「ライトニング・ボルトポーズ」チャレンジ。ギネスが公認する記録は、同時に多くの人がポーズをとるもの。ギネス公式記録員が「右ヒザが曲がるとカウントされません」「30秒間静止してください」と細かなルールを説明。「3、2、1」の掛け声とともにチャレンジスタート。最前列中央で、真剣な表情の本人が自慢のポーズをとった。

「ギネスに挑戦しよう」は、国立競技場周辺の新宿区、港区、渋谷区の商店会などによる発案だった。イベントを主催するジャパン・ピース・フェスティバル実行委員会の前田俊秀実行委員長は「せっかく地元に競技場ができたのだから、みんなでお祝いしようということ」と説明。3区の12商店会や地元の学校などに声をかけ、人を集めた。

挑戦が終わると、ボルト氏は笑顔で手を振り、会場を後にした。厳しい判定の結果、発表された数字は2682人。昨年9月に新潟の専門学校生らが樹立した2609人をわずかに更新すると、参加者から歓声があがった。前田実行委員長は「判定が厳しくてドキドキしたけれど、達成できてよかった」と話した。

新しい「聖地」の誕生で地元は沸く。「景観をそこねる」など反対意見があったのも確かだが、東京五輪をきっかけに町が盛り上がるのは間違いない。ボルト氏本人を招き、2600人を超える人たちが1つになって達成したギネス記録。この日オープニングイベントを迎えた国立競技場に対して、地元からの最高のプレゼントとなった。【荻島弘一】