箱根路を駆ける現役選手も来年の東京オリンピック(五輪)を目指している。連載「箱根から五輪へ」の第4回は自国開催の大舞台を狙う男たち。学生最強ランナーと呼ばれる相沢晃(東洋大4年)は来春の卒業後、実業団の名門・旭化成から1万メートルで東京五輪代表を狙う未来像を描く。胸には64年東京五輪の男子マラソン銅メダリストで同郷の円谷幸吉氏の思いも秘めている。東海大4年の阪口竜平は3000メートル障害で挑戦する。

東洋大のエース相沢は、故円谷氏の背中を追う。同じ福島・須賀川市出身。小学校時代は第2の円谷発掘を目的とした円谷ランナーズに所属して、走る楽しさを学んだ。箱根から東京へ。2年連続区間賞で、20年の好スタートを切る。

相沢 小さい頃から円谷幸吉さんのメモリアル大会に出場してきたし、記念館などにも行って、素晴らしい功績は分かっています。自分も東京五輪の1万メートルで日本代表となって出場したい。同郷にご縁を感じていますし、自分も同じ東京で1万メートルのメダリストにチャレンジしたい。

今季は出雲で3区区間新、全日本も3区区間賞と絶好調。前回大会は4区区間新を更新する快走を見せたが、今大会は花の2区にエントリーされた。前回、順大・塩尻和也が更新した日本人最高記録1時間6分45秒を上回る、同6分30秒が最低目標。09年の山梨学院大モグスの同6分4秒も超えられれば勢いは加速する。

相沢 円谷ランナーズで学んだことは、楽しんで走れば自分の力を最大限に出せること。当時は実感できていなかったが、箱根駅伝を含む3大駅伝で実力ある選手と競い合いながら必死に走れることが楽しい。そう思えているからこそ、結果が出ると思えています。

来年3月の東京マラソンにエントリーしている。日本記録保持者の大迫傑らトップランナーが集う可能性もあり、貴重な経験も五輪につなげるつもりだ。

相沢 箱根は通過点の1つであり、ステップ。20年東京五輪1万メートル出場につなげるシーズンにしたい。だからこそ最後の箱根で、4年生、エース、主将として6年ぶりの優勝を果たしたい。

円谷から相沢へ。オリンピアンのタスキが受け継がれようとしている。【鎌田直秀】

◆相沢晃(あいざわ・あきら)1997年(平9)7月18日生まれ、福島・須賀川市出身。長沼小時に円谷ランナーズスポーツ少年団で本格的に競技を始め、長沼中から学法石川。7月のユニバーシアードではハーフマラソン金メダル。自己ベストは5000メートル13分34秒94、1万メートル28分17秒81、ハーフ1時間1分45秒。178センチ、62キロ。血液型O。好きな食べ物はスイーツ。

○…日本選手権の覇者・阪口は自分の可能性を信じている。「東京五輪は出るだけじゃなく、決勝も見据えて頑張りたい。予選で8分10秒くらい出せたら。出るだけとの気持ちではパリ五輪も、21年世界選手権も失敗すると思う」。自己記録は日本歴代9位の8分29秒85。東京五輪の参加標準記録は8分22秒00だが「高いとは思っていない」。短距離のハードルを跳び越える練習も重ね、感覚を体に染み込ませる。卒業後はSGホールディングスへ進む。