これまで多くの箱根ランナーがオリンピック(五輪)の舞台へと羽ばたいた。その数は不参加、欠場、今年の東京五輪も含めると78人(夏季77、冬季1)。連載「箱根から五輪へ」の最終回は、五輪代表が走った箱根の全成績を区間ごとに紹介。84年ロサンゼルス、88年ソウル五輪マラソン代表で、早大時代は「花の2区」を4年連続駆け抜けた瀬古利彦氏(63=横浜DeNAランニングクラブエグゼクティブアドバイザー)には、2日号砲の大会の展望を語ってもらった。

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いよいよ五輪イヤーの幕開け。五輪ムードが高まる中、箱根駅伝に期待することは多い。一時は箱根駅伝が「ゴール」という考えもあった。7年前に東京開催が決まり、変わった。選手たちの意識も「箱根から五輪へ」が強くなった。昨年9月のMGCは、出場選手のほとんどが箱根駅伝の経験者だった。沿道で応援した仲間たちも「五輪」を強く意識したはず。大迫らの活躍で「箱根から五輪」の流れが強くなってきた。

地元での五輪開催年に迎える今大会。勝つのはどこか。昨年は絶対だと思った青学が勝てなかったし、予想は難しい。連覇を狙う東海大が優勝に近いが、区間エントリーで補欠に回っている故障明けの館沢や阪口に不安がある。層の厚さはあるもののエース級が万全でないと、チーム全体に及ぼす影響も大きい。本命と言いたいところだが、ここは対抗止まりにしたい。

東海大に代わって本命になるのは青学大。安定しているし、何より箱根の勝ち方を知っている。昨年はまさかの2位に終わったが、それだけに今年にかける思いも強いはず。スーパースターはいないが、全員が上位で走る力を持っている。優勝の可能性はもっとも高いとみる。

往路は大混戦になる。駒大、東洋大など実力校はもちろん、出雲を制した国学院大やスピードのある東京国際大などが優勝を狙う。ただ、総合優勝となると青学大や東海大に2分以上の差をつけないと。大混戦だけに、1区から10区まで目が離せない。五輪イヤーの年頭を飾るにふさわしい大会になりそうだ。