「WITHコロナ時代」で新しい生活様式が求められる中、国内の競技会も従来とは違った新しい形が模索されている。

陸上の競歩では、オンラインでの記録会が実施されている。18日~21日の期間に時間や場所は問わず、各自が5キロを歩き、タイムを競い合うタイムトライアルだ。

タイムは主催者側にメールかツイッターのダイレクトメッセージで自己申告。もちろん歩型、距離などは参加者の良心に委ねるしかない形だが、コロナ禍で目指していたレースが中止となった選手に、少しでもモチベーションが回復する材料となることが期待されている。

高校生45人、大学生33人を含む男女121人がエントリーしている。また50キロ競歩で日本歴代2位の記録を持つ丸尾知司(28=愛知製鋼)も名を連ねている。

発案したのは、山形県内で競歩の練習している団体「山形競歩」の三沢凌さん(26)。高校総体が中止に決まり、普段は高校生とも一緒に練習していることもあって、「このまま3年生を引退させたくない」という思いがあったという。もちろん、その代わりには及ばないが、「大会がないのであれば、作れたら」と考えた。

山形競歩の仲間に「東北大会をオンラインを通じてできないか」と相談すると、「規模を全国にして、各カテゴリーで競う方が盛り上がるのではないか」となって、今回の企画に至った。

もともと競歩は大会が少ない。そこに未知のウイルスが重なり、実戦の機会が一気に奪われた。三沢さんは当初、「人数が集まるか」不安だったというが、「まさか100人を超えるとは思わなかった」と感謝する。大会運営の事務作業などは通常の勤務が終わった後からで、少し大変だが、それもうれしい悲鳴だ。参加者からも感謝の言葉が寄せられているという。

山形商高で競歩を始め、今も会社に勤めながら、大会に出ている三沢さんは「1人ではなく、ライバルと競い合い、少しでも皆さんのモチベーションの足しになれば」と話した。