男子110メートル障害は、昨年の全国高校総体2位の近藤翠月(新潟産大付3年)が会心の走りを見せた。追い風2・5メートルの参考記録も、2位桜井陽生(同1年)に1秒6の大差をつける14秒03で優勝した。

◇   ◇   ◇

電光時計のタイムを横目で見ながらフィニッシュした近藤は、右手を突き上げた。新型コロナウイルスの影響で練習不足だったが、14秒03と自己ベストに0秒01差に迫るタイムをマーク。だが、それはぬか喜びに終わった。場内の「追い風2・5メートル」のアナウンスに「追い(風)参(考記録)か」と言いながらシューズのひもをほどいた。ハードルの1台目から「横には誰もいなかった」という会心のレースだっただけに、悔しさを抑えられなかった。

もっとも、本年度初のレースで走りのイメージはつかんだ。「スタートが素早く決まって1台目から10台目、フィニッシュと、いい感じだった」と言う。日本室内陸上(2月)の60メートルジュニア障害で大会新Vを決めて以来のレースだったが体はさびついていなかった。昨年2位に入り、頂点を狙っていた高校総体が中止になった。近藤は「モチベーションは一気に下がった」と言いながらも、すでに大舞台に照準を合わせていた。10月に新潟市のデンカSで開かれる陸上日本選手権だ。「A標準記録(13秒92)を突破して出場したい」。高校最後のシーズンを近藤は一気に駆け抜ける。【涌井幹雄】

◆近藤翠月(こんどう・みづき)2003年(平15)3月28日生まれ、柏崎市出身。柏崎東中。陸上は北鯖石小3年から本格的に開始。全中は4位。昨年は国体2位など。兄・蒼依(あおい)さん(東海大2年)は走り幅跳びの県高校チャンプ。182センチ、72キロ。血液型B。