陸上のDeNAは5日、本年度を最後にチームの体制を廃止すると発表した。同クラブは瀬古利彦氏(64)がエグゼクティブアドバイザーを務めている。

今後については、国際大会で活躍を目指す選手と個々にスポンサー契約を結ぶ。企業として、チーム規模の育成、指導を担う体制は辞める。日本選手権男子1500メートルを優勝した館沢亨次(23)ら現所属選手には新体制での契約を打診し、小中学生らを育成するアカデミー事業は継続する。

DeNAは廃部となった名門エスビー食品を引き継ぐ格好で、13年に創部した。16年の全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)では5位に入った。18年には駅伝から撤退し、トラック、マラソンで活躍できる選手の育成に集中していた。

新型コロナウイルスの余波が、スポーツ界にも広がっている事を示す例とも言える。親会社の業績が変われば、採算の難しいスポーツ事業は見直しが必要になる。今回の決定も、継続的にスポーツ支援をするための経営判断の結果。DeNAに限らず、今後もスポーツのあり方の形態を変える企業は増える可能性がありそうだ。

瀬古氏は「今後の陸上界は、自分に自信のある選手たちがプロ契約で活動するということが増えていくんじゃないかと思います。世界で戦っていくにあたって、自分の力で環境を整えて力を磨いていくことはプラスになるはずです。今回の体制変更は、そうした陸上競技と企業の関わりが多様化するなか、DeNAが先駆けて新たな形に踏み出すということではないでしょうか」。瀬古氏は退任となるが、社員としてDeNAに籍は残る見込みという。国近友昭監督らスタッフへ「ありがとうと伝えたいです」。そう談話を発表した。