女子マラソンのジャカルタ・アジア大会銀メダリストの野上恵子(35=十八親和銀行)が現役を引退することになった。来年1月24日の選抜女子駅伝北九州大会がラストレースになる。15日、所属先が明らかにした。

1月末に退社し、実家がある兵庫県に戻るという。今後の活動については未定。昨年9月のマラソン・グランドチャンピオンシップ(MGC)は5位で東京五輪代表はならなかった。世界で戦うことが難しくなり、若手の活躍を願う思いも込め、秋頃に引退を決意したという。

野上は「特に若い頃は故障も多く、苦しかったですけど、ここまで長く走ってこられたのは、応援してくださった皆様が背中を押してくれたからです。人間的にも成長をさせていただきました。今まで応援していただき、ありがとうございます。今後も十八親和銀行をよろしくお願いいたします」とコメントした。

兵庫・須磨学園高から故障との闘いだった。3年時にチームは全国高校女子駅伝を制するも、自身は補欠。卒業後に進んだサニックスでは廃部も経験。初マラソンは29歳。5000メートル15分24秒70、1万メートル32分7秒0、マラソン2時間26分33秒の自己ベストはいずれも、18年という遅咲きだった。MGCは約3カ月前には左すねを痛め、序盤で遅れたが、最後は5位まで持ち直した。数々の苦労を経て、多くの人に愛されたランナーが、ついにユニホームを脱ぐことになった。