連覇がかかる青学大が、まさかの往路12位に沈んだ。主将の神林勇太(4年)はレース5日前に右足疲労骨折が判明。予定の3区で起用できずに精神的な支柱を欠いた。2、3、5区が区間2ケタ順位となる不発。青学大の往路シード圏外は11年16位以来10年ぶりとなった。原晋監督(53)は目標を10位以内に軌道修正した。

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酸いも甘いもかみ分けた原監督は、現実を見据えた。連覇が絶望的になる往路12位。今大会の目標を聞かれて、下方修正した。

原監督 ゲームオーバーという形。優勝というのはうそになる。確実にシード権(10位以内)をとりにいきたい。プライドは忘れることなく、攻めのレースをして、自分の能力を100%発揮できるレースプランで、走ってもらいたい。

復路を残して、事実上の“敗北宣言”。トップ創価大と7分35秒差を考えれば、希望的観測はできない。優勝5度の名将は、すぱっと現実路線に切り替えた。

異変はレース5日前に起こった。当日変更で3区を予定した神林の右足疲労骨折が判明。前回大会2区で快走して往路Vをよんだ岸本大紀(2年)もケガで不在。「急きょ3区に湯原を起用したが、うまく流れに乗れなかった」と指揮官。

2区中村、3区湯原は区間14位。留年して“5年生”で山登りの5区にかけた期待の竹石にはアクシデント。両足がつりかけてストレッチを2度行った。同じ症状を起こした2年前の悪夢が再燃。竹石は「なかなか体が動かずに中盤以降でけいれんしてしまった。意識と走りが一致しなかった」。山は高く険しかった。

原監督が「何かあれば、俺が前面に出る」とコロナ禍でも全員が選手寮に残った。「風邪をひいてコロナ以外で病院のお世話になるのは避けたい」と練習量は3割カット。感染症対策を徹底すると、部員も自主的に不要不急の外出を控えた。それでも練習する姿を見て、朝の5時半に「自粛警察」から「マスクもせずに、お前ら何考えているんだ」と電話もあった。指揮官は「でもノーリスクの世界はない」とコロナとの共存を掲げて、鍛錬してきた。

ただいくら名将でもコロナ禍で大会自体がなくなることはいかんともし難い。原監督は「ガチンコレースというか、勝負を決める大会が少なかった分、強さという尺度で判断する機会が少なかった。神林にすべてを頼っていたところがあったかなと。それが往路を終えての反省です」と潔く言った。優勝は見えなくても、復路で前回王者のプライドを見せる。【益田一弘】

▽1区区間6位の吉田圭太 最後に少し離れて悔しいが、最低限の結果だと思う。今の力は出せた。

▽2区区間14位の中村唯翔 チームの皆に迷惑をかけた。他大学のエースに比べて力がなかったのが現実。

▽4区区間4位の佐藤一世 100点満点で50点。前半はいいペースだったが、後半に粘れなくて悔しい。

<青学大の往路>

1区 吉田圭太(4年) 区間6位 1時間3分18秒 総合6位 総合記録- トップ法大と18秒差

2区 中村唯翔(2年) 区間14位 1時間8分29秒 総合13位 総合記録2時間11分47秒 トップ東京国際大と2分13秒差

3区 湯原慶吾(3年) 区間14位 1時間4分48秒 総合11位 総合記録3時間16分35秒 トップ東海大と3分55秒差

4区 佐藤一世(1年) 区間4位 1時間3分9秒 総合10位 総合記録4時間19分44秒 トップ創価大と3分41秒差

5区 竹石尚人(4年) 区間17位 1時間15分59秒 総合12位 総合記録5時間35分43秒 トップ創価大と7分35秒差