陸上女子100メートル、200メートルで日本記録を持つ福島千里(32=セイコー)が4月から順大の大学院に進学することが13日、分かった。スポーツ健康科学研究科で、スポーツに関する医科学などを学び、競技に生かしていく。専門的な研究を重ねて、最新の知識を蓄え、復活につなげる構えだ。すでに合格通知を受け取っており、社員アスリートであるセイコーの籍はそのまま、大学院に通う。

08年北京大会からオリンピック(五輪)3大会連続で出場している福島は昨季、日本選手権の参加資格をクリアできないほど苦しんだ。昨秋からは練習拠点を順大に変えていた。シーズン中は、不調の原因が分からなかったが、オフに自分と向き合う中で、1つの答えにたどり着いた。アキレス腱(けん)を痛めた影響で、強い力を入れることを「無意識に怖がっていた」と知った。思うように走れなかった要因が、しっかり見えた今は、改善を施し、復調の兆しを見せている。練習も順調に積めているという。

2月には「もっともっと速い自分にならないといけない。東京五輪へ向けて、持っている力、経験、新しいことも含めて、怖がらずに挑戦していけたら」と話していた。集大成と位置付ける東京五輪へ、その挑戦の1つが今回の大学院進学だ。競技と学業の両立、相乗効果を目指す。日本女子スプリント界の象徴的な存在は、トレーニング、過去の経験、そして大学院で得ることをうまく組み合わせながら、輝きを取り戻していく。

◆福島千里(ふくしま・ちさと)1988年(昭63)6月27日、北海道・幕別町生まれ。帯広南商高卒業後、北海道ハイテクAC入り。17年のプロ転向を経て、18年1月にセイコー入社。五輪3度、世界選手権4度出場。08年北京五輪では日本女子として56年ぶりとなる100メートルに出場。自身の持つ日本記録は100メートル11秒21(10年)、200メートル22秒88(16年)。