20年日本選手権2位のディーン元気(29=ミズノ)が強風と“格闘”し、76メートル86で優勝した。

兵庫・神戸市出身のディーンにとって、地元で迎えた今大会。敵は強風だった。「5投目だけ、ちょっとマシだった」と76メートル86を記録。全6投を終えると、ユーモアたっぷりに振り返った。

「体感マイナス4~5メートルで走っていくイメージ。(体重が)重いですけれど、なかなか切り裂いていけなかった。やっぱりやり投げは追い風ですよね」

自己ベストは12年に記録した84メートル28。この日の投てきでは遠く及ばないが、3月に南アフリカで行われた国際競技会では82メートル15を記録するなど、状態自体は悪くない。「反省して、切り替えて頑張ります」と言い聞かせると、2位、3位の選手の顔を見つめながら笑って言った。

「やり投げも直前に(投げる方向を)反対にできるようなものがあれば、超ハッピーなんですけれど…。それやったら、ご褒美もらった子どもみたいな顔になると思います」

今後の照準は東京五輪参加標準記録の85メートル00となってくる。「次はしっかり投げたい」と誓い、教訓を糧にする。【松本航】